第6話 制圧と、至福の時
会場は沸いていたが、フィールド場では混乱や恐怖が広がっていた。
実況「よ、49番、戦闘不能、脱落!」
ところがどっこい。
雷が止むどころか、雲すら無くならないじゃないか。
発動者が違ったか・・・。
「もういいかぁー。あれを直接消そう。」
雲を消し飛ばすのは得意分野だ。
かるーく、ちょっっとだけ力を込めて空へ突きをする。
グオオォォ
俺の一発で細くて鋭い竜巻が生成され、それが雲を巻き込んだ。
辺りに雨が降った。
べちょぬれの服で動くの嫌だし、さっさと帰りたいし、この雨って結構障害物になってくれるから、
どさくさに紛れてあと二人ぐらいいけるか・・・。
足に力を込める。
さっきよりも速く。
二人のつもりだったが、ちょうどいいところにいたから三人まとめて倒した。
「41番、44番、47番、戦闘不能、だ、脱落です!」
・・・
リーノア
「すごかったです!
速すぎて見えなかったです!」
「でしょー?
本気出せばもーっと速いんだからぁ。」
結局、予選は圧勝だった。
力の二割を出すまでもなく、また、10分もかかることもなく終わった。
改めてこの力の強さに驚いた。
どうして俺にこの力が渡ったのかは謎だが。
リーノア
「そ、それはもう恐ろしいですね!
ところで、これからどうされる予定ですか?
予定よりかなり早くに終わったので・・・昼食はどうされますか?」
「あー。
そうだなぁ。ほんとに早く終わったから、予定も何もないよ。」
リーノア
「そ、それなら、今からご飯行きませんか?」
・・・え?
ご飯のお誘い?
あっちじゃ一度もなかったのに?
しかもこんなエルフ美女と?
「もちろん!」
どこに行くのか。
何を食べるのか。
色々と妄想をしていた。
お洒落なカフェで、もしくは高級料理店、意外とガッツリとか、ほら、アニメとかでいるじゃん?可愛い大食いキャラの子。
しかし、実際は妄想を遥かに超えた良さだった。
お花の綺麗な野原でピクニック、だと・・・?
しかも、リーノアさんお手製弁当だと・・・?
食事はマジで最高だった。
多少王都からは遠かったが(一般人感覚で)、そんなことを忘れさせてくる景色。
ここへ来た目的は他にもあるらしい。
リーノア
「明日の本選へ向けて、魔法とか魔術の訓練でも、と思いまして・・・。
お邪魔でしたか?」
「いえいえ、とんでもない!
こんなおいしいご飯を頂いたうえで、更に稽古までつけて頂けるなんて本当にありがとうございます!」
リーノア
「いえいえ、全然大丈夫です!
早速ですが、今日の試合でのあの雷は、魔術と魔法の併用です。
あの攻撃には、おそらく少し準備が必要です。
あのローブの方が前々から考えていた技なのでしょう。
理屈はこうです。
魔術を使って、あの闘技場上空の空に雲を作る。
そこから、魔法を使って雷を落とす。」
「なるほど。
やはり魔術と魔法の同時発動は身体的にも厳しいものなのですか?」
リーノア
「負担はあります。
また条件にもよりますが、厳しいというほどではありません。
あの方が動かなかった件ですよね。
それはおそらく、魔法の方に問題があった、と私は思っています。
あの攻撃は、雷を発動し、それを対象者目掛けて落とす、といった寸法です。
ご存じだと思いますが、雷の破壊力は恐ろしい。
そんな攻撃の発動には、それ相応のマナを必要とし、マナの楔にかかる負担も大きくなります。
また、雷は基本単発です。
あの回数打つのはかなりのものです。
その上、雷の落ちる場所はランダムで、落ちるタイミングもランダムです。
それも制御するとなれば、立つことですら厳しいでしょう。
ですので、彼は回復のポーションを保持していた。
それはあなたが攻撃したお陰でわかったことですが。」
そうか、あいつに一発入れた時に感じた割れる音はこれだったのか。
リーノア
「おそらく、彼の算段としては
雷を落として、疲れてきたらポーションで回復の繰り返し
といった感じでしょうか。
本来、雷を避けるなんてことできませんからね。
だから、動いて守る必要もなかった。
自分に攻撃が当たる前に雷を当てちゃえばのですから。
しかし、それを貴方はいとも簡単に破ってしまった。
すごいですよ。本当に。」
「ありがとうございます。。
明日はもっと凄いの見せてあげますよ!」
考え事とか、真面目に何か考えてるときにちょっと声が落ち着いていて、それがすごい似合っていてカッコかわいいのはまぁ置いておこう・・・。
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