第8話 釈迦(妃達)の掌! (3)

「まあ、二人は頑固者だから、放置していれば良い。あやつを探索するのが飽きれば帰ってくるだろう。あやつのように」と。


「ふっ、ふふふ」と、西太后の椅子に座ったまま、シルフィー東太后へと告げれば。


「う~ん」と、東太后閣下は呻り。


「それにしても、あのひとの家出癖は本当に治りませんね」と。


 シルフィー東太后閣下は大変に困った顔、声音で呟けば。


「まあ、家のひとが、心から要望する物……。あの子の代わりが何時まで経っても出来ぬから仕方がないの……」


 西太后藍華様が、この宮殿の大広間の天井を仰ぐように寂しく呟けば。


「えぇ、そうですね。陛下は心からあの子を愛し、可愛がっていましたからね。宮殿内にいれば、あの子のことを思い出すのかも知れません」と。


 やはり東太后シルフィー様も、西太后藍華様のように、自身の皇后の椅子へと座れば。


 彼女は天を仰ぎつつ呟くのだった。


「うぅ、うううっ」


 すると、この通りだ。


 何処からともなく嗚咽が漏れる声がするから。


 あれ? どうした? と思えば。



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