第9話 釈迦(妃達)の掌! (4)

「ごめんなさいね、藍華さん……。嫌なことを思い出させてしまって」と。


 東太后シルフィー様が西太后藍華さまへと謝罪をおこなうから。


「いいや、いいや。別にいい」と。


 何太后愛華様は、自身の涙を吹きつつ、首を振り、東太后シルフィー様へと構わぬと告げ。


「シルフィーさん、少しばかり感情的になって申し訳ない」と。


 西太后藍華様は、東太后シルフィー様へと、自身の涙を吹きつつ謝罪をおこなう。


「うぅん、別にいいわよ、わらわのことは……」と。


 今度は東太后シルフィー様が、自身の首を振られ、西太后藍華様からまた天を──!


 そう、彼女はまた天を仰ぎつつ。


「あの日から、陛下は変わられた……」と独り言のように呟き。


「陽が高い時は、傍から見ても覇気があるように見えますが。陽が落ちればいつも暗く落ち込んでいるように見える」とも呟けば。


「いつも、あの子の面影を追いかけているのでしょう……。誰にも悟られぬように、あの子が使用していた部屋を一人で覗きにいっては大きく溜息をついたり、男泣きをしているようですから……」


 東太后シルフィー様が弱々しい声音で、肩を落としつつ、意味深な言葉を漏らせば。





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