マイナス3話(中学生編二節)
学校が終わり、家に帰る。いつも通り夕飯の時は親から八つ当たりを受け、食べるのが遅い、と半分も食べないうちにご飯は片付けられた。自分の部屋に入る。そこにはすでに二人の客がいた。
「待ってたわ。」
「遅かったじゃねえか。」
霧崎拓斗と、師匠だった。
「とりあえず…拓斗さんと師匠は結婚してらっしゃるということでよろしいでしょうか?」
「そうだ。」
「なるほど…。ちなみになんで今日俺の学校に?」
「…筆箱を届けに」
「いやそれ嘘ですよね。」
俺は今日学校に筆箱を持って行ってた。そもそも俺は学び舎に筆記用具を忘れるようなドジじゃない。だからあり得ない。
「…こいつがお前が泥棒扱いされるのを予知してたんだ。」
「えっ…。」
「言ったでしょう?私は時空を操り、超えることができる、と。」
「それで今日俺があんな目に遭うと…。」
コクリとうなずく2人。
「あんたら一体どこまで常識を超えるんだ…。」
その時だった。
「誠…その二人は誰なの?」
「何勝手に上がり込んでいるんだお前ら?」
「っ…!」
後ろを振り返ると…実の親が部屋に入ってきた。
「あー、これはこれは誠のご両親ですね。」
と微笑を浮かべ手を差し伸べる拓斗。しかし手を出された父親はその手を握らず二人を睨んだ。
「あんたら何者だ?何をしに来た?」
「私たちこういう者でして…。」
と師匠が差し出した名刺には{児童相談所}と書かれていた。両親の顔つきが変わる。
「いやぁ、誠君からね、親から虐待を受けていると相談を受けましてね。診断したらいろいろ見つかったんでね、カウンセラーに来たんですよ。」
といきなり俺のTシャツをめくりながら言った。俺のお腹には…そう、『八つ当たり』されてついた傷やアザがあった。
「そ、それは転んでついた傷よ!」
とヒステリックになる母親。しかし、師匠は聞く態度を示さず何かを取り出した。…小型ビデオカメラだった。
「これを見てもそれ、言えますか?」
再生するとそこには俺が八つ当たりで殴られたり、けられたりされていたのが映されていた。
「これが虐待ではないと?受けている本人、誠君が単なる八つ当たりと勘違いするくらいまでやっといてそれを言えますか?」
と師匠が問い詰めたその瞬間、ソレは起こった。
不意に横で鈍い音がした。驚き横を見るとそこには
「師匠⁈」
「お前…⁈」
母親が師匠を果物ナイフで刺していた。
「あなた、この証人はこれでおしまいよ!あとはそっちの男を消しなさい!」
と母親が叫ぶ。すると父親はわきからゴルフクラブを取り出す。
「こ、これでお前らを消せば何もかも片付く…!」
そういう父親の声は震えていた。だが目は殺気に満ちているようだった。
そしてゴルフクラブを向けられている拓斗は…ショックで固まっていた。
目の前に広がる地獄。そんな中でも俺の頭は数年前とは違い冷静に働いた。
能力で拳銃を作り出しゆっくりと父親に向ける。父親は驚愕の表情を見せた。
「な、なんの真似だ?生みの親にそんなものを向ける気k」
「俺はあんたを親とみる気はない。」
「そんな脅しなんか効かないからn」
一発右肩へ。短く悲鳴を上げたところで左肩に一発。
「や、やめろ…。」
「知るかよ。」
続けざまに心臓部を集中的に五発。三発目くらいで大動脈が破裂したらしくきれいに赤に床が染まった。動かなくなったのを確認し母親に銃を向ける。
「っ…。」
「お前も送ってやるよ…あの世に。」
「何でよ…。」
「あ?」
「何で私ばっかりこんな目に遭わなきゃいけないのよ!」
母親曰く父親には浮気をされていたあげく、よるに暴力をふるわれていたらしい。
「正直あのくそみたいな男が死んでせいせいしたわ…お願い、許して!またやり直しましょうよ!」
「…俺に八つ当たりした理由を他人に押し付けといて、しかも白紙に戻しましょうだと?そんなの聞くわけないだろ?…てめぇは絶対許さねぇ。」
夜空に三発、乾いた発砲音が響いた
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