マイナス2話(中学生編一節)
自称未来の俺の師匠と名乗る女性が来て二年。俺は中学生になった。
あの彼女と会った日から俺は結構変わった。ある程度自分で能力がコントロールできるようになった。だから人にけがをさせることが無くなった。理由は、夜に彼女が俺に能力コントロールのやり方を指導してくれたからだ。
「一度慣れてしまえば簡単なのよ。ただし気を抜かないこと。その能力は人を簡単に殺めることもできるのだから…。」
と彼女は、初めて能力をコントロールできて喜んでいた俺に優しく言った。次第に俺も彼女に慣れて、{師匠}と呼ぶようになった。
中学校生活はというと、相変わらずだった。当たり前といえば当たり前かもしれない。地元の中学校にそのまま行ったのだから。クラスメイトも顔なじみの人ばかりだった。いじめも相変わらず続いた。
桜が葉桜になり始めたある日のこと。
「今日も学校…まあ、みんな朝は部活か…。」
朝、大体の人は部活の朝練で忙しい。俺のクラスもそうだった。ちなみに教室は吹奏楽部が荷物置き場にしていたため、俺は自分の机に突っ伏して寝ることにした。…あんなことが起きるとは知らずに。
不意に頭に痛みを感じ、起き上がる。机の周りにはいじめっ子、そして吹奏楽部の女子数人がいて僕を見下ろしていた。
「…何か?」
聞いても何も答えない。居心地が悪いのでその場から離れようとした、のだが
「いった…。」
椅子に押し戻された。そこで、いじめっ子の後ろにいた女子の一人がやっと口を開いた。
「…泥棒。」
「…は?何を言って」
「サイテー。」
ふと机の引き出しに何かが入っているのを見つける。かがんでよく見ると、5個ほど財布が乱暴に入れらていた。引っ張り出したところでいじめっ子が口を開く。
「殺人の後は泥棒かー、人間としてサイテーだよな。」
財布をよく見ると、名前が書いてある。この教室に荷物を置いてある吹奏楽部の部員の財布だった。
「これは先生に言わないとなー。」
いじめっ子が言う。口ではまともなことを言っている。しかし目は笑っていた。
「俺は知らないぞ。」
「そうかー?ならその財布の指紋、俺の父さんに頼んで調べてもらおうか?鑑識だし。」
「いや出てくるわけ…あ…。」
そう。今引っ張りだすとき、俺は財布に触ってしまった。素手で。いじめっ子「ざまあ。」という顔をしている。
殺す。もうどうなっても良い、こいつらを殺せるなら。そう思った時だった。
「ならぁ、その吹奏楽部の荷物からもぉ、大山君のぉ、指紋出てきますよねぇ?」
教室の後ろの入口に一人の男性が立っていた。清楚な顔立ち、180cmくらいの背の高さ。そして…真っ白な白髪。刑事の服装をしている。20代後半くらいの見た目だ。
「おっさん誰だよ?」
いじめっ子の一人が聞く。
「あぁ、私ですか?こういうもんですよぉ。」
懐から出したのは…警察手帳。いじめっ子たちの顔から動揺がうかがえる。さらに手帳を開いて見せてくる。この学校の県警の名前と、名前には、
「…大山 拓斗ぉ⁈」
「そうですぅ。誠の父親なんですよぉ。」
「いやあんただr…」
誰だよと聞こうとした瞬間、そいつは俺に向かってウインクをしてきた。
「…。」
「いやあ、誠は困ったもんでぇ、筆箱を忘れてたようでぇ、届けに来たらなんか聞こえたんでねぇ?まあ、たとえ息子だとしても盗みをしたなら取り締まりをしなきゃいけないからぁ、証拠集めのためにぃ、そのかばんお借りして良いですねぇ?」
「…。」
「どうかしましたかぁ?」
「いやなんm」
「私たちの間違えだったみたいです。すみませんでした。」
いじめっ子たちがなんか言おうとしたのを遮り吹奏楽部の女子が謝ってくる。そのまま立ち去ってしまった。自分たちが反撃できないのを悟ったのだろう。それにつられるようにいじめっ子たちも消えていく。
「最後まで自分の罪を認めないとは…困った奴らだな。」
「…いやあんた誰だよ⁈」
「あぁ、俺?」
そいつは俺に向かいニカッとわらい、こういった。
「霧崎拓斗。あんたの師匠の人生のパートナーさ。」
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