第123話 デートする事に

 屋敷を設置した翌日、ミリアの予言が久し振りに発動した。

 残念ながら良くない内容だった。但し、予測しうる内容だった。

 近いうちに第4の偏位となる異界への門が開くと言うのだ。門に対処する必要があり、やはり俺達が起つ事になる。 つまり、門というか、変異に対処する為に俺達は町を出て行かざるを得なくなるのだ。


 それだけであれば大した内容ではない。しかし良くないというのは、今屋敷にいるメンバーの中で誰かが欠けて戻らないという内容だったのだ。誤解しようもない程明確な内容だった。出発時の人数と帰着時の人数が違う、つまり誰かが戻らないという事なのだ。それを聞くと皆黙り込んでしまった。ただ、誰が戻らないのか、誰が戻ってくるのか、それはどういった形で戻って来られないのか?全て分からないのだ。つまり旅立てば誰かが欠けた状態でここに戻ってくると言うのだが、1週間から10日後の事になると言う。


 そんな中、皆にミリアの予言内容を伝えたが、イリアとミリアから結婚を迫られた。戻って来られないのは自分達なのかも分らないし、もし自分が戻って来ない場合は、死別以外あり得ないと思っているのだ。


 せめて俺の妻として次の戦いに挑みたい!そんな事を言ってくれた。

 俺は以前の約束通り娶る事にしたのだが、予定よりかなり早い。ただ、忙しかったから未だにきちんと行なっていない事をする事にした。


 2人とまともにデートをした事がないのだ。イリアとミリアとは個別にデートをし、そのまま初夜を過ごす。なので明日はどちらかとデートするのだ。更に翌日にまたどちらかとデートだ。そしてその翌日から出発の日まで準備をしつつ、妻達とデートをしていく。今生の別れの可能性があり、誰かが欠ける事は考えたくはなかったが、万が一に備えて思い出を残したかった。


 明日イリアかミリアのどちらかとデートし、名実共に娶ると言うと、2人からは当日の楽しみにするようにと言われてしまった。と言うよりも、今日これから2人でどちらが先なのかを決めるという。後腐れの残らないようにくじで決めるのだそうだ。


 俺はというと、今日、国王に会いに行っていた。必要な物資を確保するのと、万が一の時の為に収納に入っている金銭を預けていったのだ。自分が戻る事が出来なかった時の為の備えだ。書記に代筆を頼み、遺言も国王に託した。


 近々また門が開いてしまう予言の内容を伝えた。そして自分達が行かねばならないが、今屋敷にいるメンバーのうち誰かが欠けるらしいと。それがひょっとすると自分かもわからないから、万が一自分が帰る事が叶わなかった場合、妻達に何も残せなくなってしまう。その為にお金や大事な物を一通り預けていった。


 万が一、自分がゼツエイのように向こうに残る選択を行った時の為に、武器、食料その他もろもろ必要と思われる物資の調達をするようにお願いした。国王自らやる訳ではなく、部下に目録を作製させ、更に別の部下に命じて物資を調達させるとした。


 国王と別れた後、俺は城の中で見掛けた若いメイドさん達にデートスポットを聞いていた。


 帰り際、国王に呼び止められた。


「必ずやここに戻って来てくだされ!我が国、いや、この世界はまだまだ友安様を必要としております」


 俺は国王にただただ、苦笑いをするだけだった・・・


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