第111話 ぷちデート
領主の館を後にしてからは、宿に戻りがてらエルザと町を見て回った。
妙にエルザがはしゃいでいて、普段のキリッとして隙のない堅苦しい雰囲気とは違い、そのギャップにどきっとしてしまった。
ある程度ざっくり見て回り、不足品を買っていたりもしていた。
「ねえねえ友安様!あれ美味しそうですよ。買ってきますのでちょっと待っていてくださいね!」
そう言い美味しそうな匂いの漂う店に行き、串焼きを買って来たので歩きながら頬張る。
鶏肉のような感じで中々美味しく、特にタレが美味しかった。
歩いていると小さな公園にいつの間にか足を踏み入れており、ベンチに座って食べていた。
エルザがハンカチを取り出して俺の頬を拭く。どうやらタレが頬に付いてしまったようだ。
「あはは。友安様ったらまるで子供みたい」
エルザはフルーツを口に運んでくれたりとハイテンションだ。そんなエルザの仕草にドキドキしてしまう。顔が近く、胸元が開いていて、谷間を強調する服だ。そこから見事な谷間が覗いているのだ。ついつい手を伸ばしたくなる。
この世界の女性の服は胸元が開いているのが多く、魅力的な格好が一般的だ。男の気を引く為の服とミザリアが言い切っていた。
エルザもそういう服で、谷間にゴクリとしてしまう。もうエルザを抱く事しか頭になかった。エルザの魅力にころっと逝ってしまっており、エルザの事しか考えられなかった。
「ちょっとどこを見ているんですか?そんなだから顔が汚れるんですよ」
俺はエルザを抱きしめた。夕焼けに照らされたエルザの顔は美しく、赤みが掛かっていてまるで女神だった。
「エルザ、愛している。君が欲しい。常に俺の傍らにいて欲しいんだ」
そう言い顎に手をやり戸惑っているエルザにキスをする。すると串だけになった串を落とした。
熱烈なキスをし、胸を軽くタッチする。
抵抗はない。短くあっと呻くだけで力が抜けていた。
暫くベンチに腰を掛け、腰に手を回し抱き寄せていた。エルザは体重を俺に預けていて、頷いていた。
名残惜しいが、そろそろ夕食の時間帯なので引き上げる事に。
腕を組んで歩く。語る必要はない。ただ一緒に歩くだけでよい。
歩いていると、女性向けの服屋が目に入り、エルザが1人で入っていった。
その間に俺は隣のアクセサリー店でネックレスを買った。シックで派手ではないが、引き立て役になる小さな宝石が上品な一品だ。
店の前で待っていると、買い物を終えたエルザがニコニコしながら出て来た。
「何を買ったの?」
「勝負下着ですよ!」
「えっ?」
「なーんてね。乗馬用の服ですわ。本気にしたの?」
「想像しちゃった。素敵だろうなぁ」
あぁ想像しちゃったよ!
不敵な笑みを浮かべるエルザと手を繋ぎ宿に向かう。そのまま食事をしてから部屋に入る。
食事は正直何を食べたか覚えていない。宿の食堂は繁盛していたが、本日のおすすめ定食を頼んだ事だけは覚えているが、エルザの顔が眩し過ぎて、定食の中身は覚えていなかった。
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