第97話 屋敷を取り戻せ!
今日の旅路は順調で、時折弱い魔物が出る程度だった。
馬車の中ではイリアとミリアがフランカに根掘り葉掘り聞いていた。特に俺との情事の様子を。
ミザリアは面白がって止めないどころか、むしろ煽っているぞな・・・ひぃいぃ。
イリアが時折話をミザリアに振るが、さらっと上品に答える。上品だけど言っている事は同じだから!恥ずかしいから、頼むから止めて!
フランカも淡々と答えている。
早く抱いてもらいなさいとか、情事の細かい内容を答えているから、俺は恥ずかしかった。
ミザリアなんかは、最初中々うまく行かずやきもきしたとか言い出すし、途中から同じく真っ赤になっているエルザと御者席に逃げ込んでいた。赤裸々過ぎるんだよ!
2人で御者をしていると、エルザがうとうとしていた。俺にもたれ掛かってきたから密着している。綺麗な女性だなとは思っていたが、ついつい胸元を意識し、谷間を覗いてしまう。中々の物をお持ちなのだ。
彼女の服はまだ直していないから、胸元の余裕がなさげだった。
つまり、はち切れんばかりに胸の形がはっきりしている。
休憩の時にエルザにと買った服を渡すと、抱きつかれて感謝された。
「わたくしとした事がはしたない真似をしてしまいました。着替えが無くて困っていたのです」
「済まないけど、もしサイズが会わなかったら後で直すけど、1度着て見せて欲しい。スキルのお陰でサイズは頭に入っている筈だけどね」
後で直すからと、今は収納に入れて置く。それより気になったので1つ確認をした。
「あと、今後どうするんだ?いずれ城に戻らなければならないんだろう?」
「いえ、私は友安様とずっと行動を共にするつもりです。駄目ですか?」
「良いのか?君は王族だろ?そりゃあ確かにエルザが一緒だと俺も嬉しいけどさ」
「はい、一生ついていきますわ。ご迷惑?」
「うん。こちらこそ宜しくな。じゃあ、正式なメンバーとして俺達と一緒に行動するって事で良いんだよね?」
「はい、既にミザリアさんの許可は頂いておりますから。その、そういう事ですので、宜しくお願いします!」
よく分かっていなかった。エルザがなぜ先にミザリアに許可を取ったのかを。一生と言ったその意味と、パーティーメンバーとして臨時から正式になる事、それ以外の許可を得た事を。そう、スキルを発動していないと朴念仁だった。
つまり、メンバーという言葉の認識が違うのだ。
俺・・・パーティーメンバー=仲間
俺以外・・・ハーレムメンバー=妻
それとは裏原に、俺は既にエルザを本気で好きになっていたので嬉しかった。ハーレム入りが決まっているがそれを俺は知らないから、これからパーティーメンバーとしてのエルザをどうやって恋人→ハーレム入りに繋げるかで頭が一杯だった。好きだと告白をしたいなと思っていたが、俺にはハードルが高かった。
最初は美人だから仲良くしたいなと思い、ついついスキルを使い口説いた。しかし、いつの間にかプロポーズを考える程度にまで俺の方が本気で好きになっていた。俺のスキルって、誰かを好きになるスキルか?
因みに対象の相手に対し、こちらを好きになる方向に誘導するスキルなので、既に好かれている相手には何も起こらないのだ。
思いきって腰に手を回したが、手に手を重ねてきた。調子に乗り頭を撫でるが、やはり手を重ねてくる。
良い雰囲気だった。
更に手を握ってきた。俺も握り返す。
先の変異での戦いではお互いに命を何度も助け合っていた。
エルザはその唇を強引に重ねて来るのを待っていた。俺はその時はまだそんな事に気が付かなかった。
そう、雰囲気の良い場所でキスを、ロマンチックな場所でと考えていた。因みに皆隙間から覗いたり、聞き耳を立てており、俺達の事は筒抜けだったのだけど、この時は知らなかったんだよね。
そんな俺の気持ちとは裏腹に、エルザはいつまでもキスをしてこない俺に少し腹を立てていた。
「友安様のばか」
エルザが呟いていたが、聞こえなかった。
「どうかしたか?」
「女に恥をかかさないでねって、そう言ったのですよ」
「なあエルザ、町に着いたらさ、少し2人で散歩をしないか?それ位の時間はあるだろう?」
エルザは嬉しそうに頷く。
今の俺は、エルザの気持ちを考える余裕がなかった。それに、やはりこの世界で強者認定された者がどうあるべきか、どう見られているのかも認識できていなかった。
夕方前に、第1目的の町に到着した。拍子抜けする位に何事もなかった。まずは宿を確保だが、宿に向かう前にイリア達の屋敷へ案内させた。
しかし、正門の前に見張りがいて入れない。ただ、封印されて無人のようだが。
白亜のコの字型をした3階建ての大きな屋敷だが、どうやら売り出し中らしい。怪しまれないように屋敷の前を通り過ぎる。屋敷が見える場所で双子に確認する。
「ここは君達が違法に奪われた屋敷だな?」
2人は泣きながら頷く。
「取り戻したいか?」
頷く2人。
「今日の夜に奪い返す。屋敷のサイズとか分かるよな?」
「はい。頭に入っております。大丈夫ですわ。間取りもです」
どういう事なのか疑問に思うイリアには後のお楽しみとして、その場を引き上げる。ミリアは何をするか知っていたようだった。おそらく予知夢だろう。止めて来ないから、成功するのだろうな。
宿に着くとエルザと買い物に繰り出す。屋敷を取り戻すのは暗くなってからだ。
収納には建物が基礎ごと入っていたから、建物も行けるのだと確信したのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます