第94話 フランカの正体

 俺はフランカに追い込まれ、壁を背にしており、壁ドンになった。フランカが俺の左手を掴んでその胸元へ、右手は自らの股間に持っていった。唖然として固まっており、なすがままにされていた。いよいよ俺の純潔が散ろうとしている。ヤバイヤバイヤバイ!掘られる!ヒェ~

イチモツなんて触りたくないぞ!


 掘られてたまるか!でも、体に力が入らない。


「かあさん、この親不孝者をどうかおゆ?」


 と呟いていると左手があるものを揉めていた。心地良く好みのサイズだ。

 まだ変装道具を着けていた?っあれ?と思う。どう見ても本物の胸だ。感触も見た目も。ただ、潰れている。


「あっ!」


フランカが妖艶な呻き声をあげる。


 しかし右手には股間の膨らみを・・・感じない。男の象徴が無かった。えっ?


「フランカ、お、お前、ま、まさか女だったのか!」


「はい、わたくしれっきとした女ですわ。友安様、お慕い申し上げます。愛してしまいましたの。どうか哀れな私にお情けをください。妻の1人にしてくださいませ。いえ、性奴隷で構いません」


 更にキスをしてきた。俺もその口を貪った。


「そうか、おかしいと思っていたんだ。俺も愛しているよ。漸く気が付いたよ。ずっと違和感があったんだ。どうして男の振りをしていたんだい?」


「はい、安易にサキュバスの女だと知られると犯されたりするのです。するとその者に取り入らないと生きられないからです。場合によっては性奴隷にされます。ですので、愛していると、一生ついていく覚悟を持たないうちは女と知られる訳にはいかなかったのです。どうか騙していた私をお許しください」


「そ、そうか、俺には良く分からないが、事情が有るなら仕方がないさ。それより俺なんかで良いのか?君程の器量なら男は選り取り見取りで、それこそ俺みたいに複数の妻を娶る者ではなく、君だけを愛する者が現れるん」


 先を言えなかった。口を塞がれたからだ。


 しかしフランカの焦り方は尋常では無かった。

 フランカの様子もおかしい。息が上がっているのだ。


 取り敢えず湯船に浸かる。

 女性と一緒に入るのは何気に初めてだ。ミザリアともまだだった。


 フランカの話だと、成人すると発情期に入り、どの男も魅力的に感じるのだそうだ。

 本来まだ数ヵ月は先だったらしい。

 親が決めた相手は嫌悪感しかせず、里を飛び出したのだと。里そのものにも色々問題があるという。


 丁度勇者召喚がされると聞いたので、それに合わせて書き置きだけして里を出てきた。母親のつがいが最低な奴で、母親は性奴隷と化していて、それでも愛していると言うらしい。その男が死ぬと後を追うらしいのだ。父親ではないらしい。


 フランカは俺を選んだ。実に哀れな種族だった。男に依存し、相手が決まっていない状態で発情期を迎えてしまうと、性的に奉仕するだけの存在でも構わないと、しかも本心からそう思うようにさえなる。サキュバスと肌を重ねると、種族補正で骨抜きにされる程だと。男もサキュバスに依存しかねないのだとか。よくわからない。フランカはそう聞かされているという。俺が湯船にお腹を抱き抱えるようにして一緒に入っているからか、今は落ち着いている。

 フランカは明日には誰かれ構わず欲情し、正気を失くして誰かに抱いて貰う迄懇願すらしてしまう筈だと言う。正気を失うなんて恐ろしい。

 しかもその男に全てを捧げる事に何の疑問すら思わなくなるのだとか。


 出来たら正気を保っている今のうちに愛して欲しいと言う。母親はある出来事により正気を失っているとの事だ。


 俺はフランカを他の男に抱かせるつもりは毛頭無い。その事を考える前にする事が有った。何故かやらなければならいと強く感じたのだった。

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