第67話 試運転
朝何かが頬を舐める感覚で目が覚めた。
ハインとシロの2頭に舐められていたのだ。
既にイリアとミリアは着替えも済んでいて、俺を起こしに掛かったようだが、多分俺をペロペロしておいで!と言って2匹をけしかけたのだろう。くすぐったかった。
可愛いのでギュっと抱きしめると、嬉しそうにキュイ〜と鳴いている。
いつもの事だが、イリアとミリアに革の服を着せて貰う。いつの頃か1人で着るのを諦めた。一応出来るのだが、時間が掛かるのと実際問題として、毎度かなり苦戦しているのもあり断れなくなり日課になっている。
今日から着るのは新たな服、ドラゴンの革の服だ。業物、そう、カナロアやムネチカの武器位ではなければまず刺さらない優れものだ。彼らの武器は例えドラゴンの皮膚であっても、あっさり斬り裂くのだ。
そう言えば昨夜こっそり?試しにと防具ガチャを回した。ガチャを回す対価は魔石だった。その結果ドラゴンの革の服にグレードアップしたのだ。えっと、大量の魔石を突っ込みました・・・止まりませんでした。眠い。
フランカ、ゼツエイ、イリア、ミリア、そしてミザリアのもだ。カプセルを渡し、俺の目の前で開けたら全員ドラゴンの革の服だった。
服にしか見えないが、プレートメイルと遜色無い防御力だ。但し打撃には弱いので注意が必要だ。
お陰で収納に入れていた目ぼしい魔石は殆ど全て使い果たし、その事がバレて皆から白い目で見られた。昨夜ガチャを引いたので今日試しに着ていくのだ。魔石だが、種類が分からないのは売りに行く。
ミザリアも1人では着替えられなくなり、ムネチカに着替えさせて貰っている。
フランカの着替えはカナロアが手伝っていたが、着替えの後からカナロアの態度がおかしかった。何か有ったのかを聞くと、なんでもないとしか言わない。ただ不機嫌だった。
なぜ俺に頼まずに、カナロアに頼んだのだろうか?
まあ問題がないなら良いかな?とは思いつつも、何かあったら相談するようにとだけ言っておいた。
食事をする時に、普段ミザリア、イリア、ミリアは大概の場合は残すのだが、その分をハインとシロの分として分け与えたらちょうど良かった。
ハインはミザリアの膝の上で餌付け、もとい、食べさせて貰っていた。まだ自分の腕で上手く掴めないからだ。
シロはイリアの次にミリアの所に行っていた。
ハインは少し足らなさそうだったが、フランカがおいでおいでをしていて、ハインはフランカの膝の上でお行儀よく食べさせて貰っていた。
満腹になったのか2匹はゲップまでしていて、皆が笑っていた。今思うと、俺達全員が明るく過ごした最後の時期だったかもだ。
今日の修行には2匹も連れていかざるを得ない。宿に放置出来ないからだ。万が一誘拐されたら一大事だ。
腕試しで戦闘をしている者以外は2匹の護衛で、外では結局のところ俺とイリアの頭の上に乗っかっていた。
ゼツエイとミザリアが俺の護衛、ミリアとフランカがイリアの護衛となり、ムネチカが先頭、カナロアが殿で進む。
今日は中央部に進み、そこでの修行として向かっている。
修行の他に魔石を集めるのが今日の課題だ。
同一種族の魔石限定で、カプセルを開けた人向けの装備品ガチャが出るのが有るからだ。昨夜魔石が有るだけで試したが、鎧代わりの服のみで、ブーツとかが無いのだ。
魔石の個数が曲者で、総数ではなく種族別で数を揃える所が厭らしい。
現在俺の収納に入っているのは、グリフォンとミノタウロス、オーガので、ガチャで余った分だ。それらは判別出きるが、その他は最早判別出来ない。
基本的に魔石の取引は合計の重さで、上位種はその限りではない。
一旦魔物の種類が分からない分は売り捌き、種族毎に分別する為の袋や小さいコンテナを買ってきたりして準備をしている。
勿論ランクの低い魔物の場合は個数を多く必要とする。
グリフォンだと5個で1回引ける。
オークだと100個だ。
ゴブリンなんて泣けてくる。500個だ。
ミノタウロスとオーガは各々30個だった。
上級エリアを進んでいるが、中々魔物が出ない。仕方がないのでグリフォンの巣を見に行く。あそこなら確実にいるだろうからとなったが、俺達が近付くと慌てて飛び去り始めた。ムネチカに行け!と命じ、1匹を倒し、もう1匹を俺の魔法で羽を折り墜落させたが、近付いて止めと思ったら怯えていて何故かフランカに飛び掛かって行き、フランカが首を斬り落として決着した。
何故か逃げ出そうとしていたが、訳が分からず謎だった。
ただ、見ているとハインから何かオーラが出ていたので、ミザリアに確認する。
「なあ、ミザリア、多分だけど、魔物が寄り付かないのはハインかシロが何かやっているからだよな?」
「多分威圧を無意識に放っていましてよ。ちょっと話してみましょうか。ねえハインにシロちゃん。あなた達って、魔物が寄り付かないようにしてくれているのかしら?今は修行で魔物を倒したいの。なので今はそれをしなくても大丈夫よ。2人は私達が守るから解いて貰えると嬉しいわ。私達を守ってくれたのよね。ありがとう!やさしいのね」
ミザリアが優しく語り掛けると、ハインが小さくピィーと鳴いたので、どうやら同意したようだ。
そしてグリフォンの卵をゲットしつつ、中心部に戻るのであった。
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