第56話 町の復興

 目覚めと共に、柔らかで心地良く、更に暖かな感触がある事に気が付いた。 

 そして意識がはっきりした途端に、俺の今置かれている状況に唖然となった。


 俺が寝ている布団にミザリア、イリア、ミリアの3人がいて、多分全員裸で布団の中にいるのだ。勿論俺も裸っぽい。布団にくるまれているから何となくではあるが、皆が裸だと確信はしたものの、理由が分からなかった。


 手を動かせばそこにミザリア様の生乳がある!

 意識しないでか!触りたい!でも、へたれなので何もできない。


 因みに左にミリア、右にミザリア、俺の胸元にイリアがいる。


 恐る恐る確認する事にした。


「あ、あの、皆さん?状況がよく分からないのだけれども、皆裸だよね?何故?」


「ああ!良かった!友安様が目を覚まされたわ」


「まったく世話の焼ける人ね!美女3人が暖めてあげたのよ!有りがたく思いなさいよ!」


「良かったわ!痙攣までしていたのと、まるで氷のように冷たかったのですわ!すっかり暖かくなったのですわね!」


 等とミリア、イリア、ミザリアの順で一言あった。


 話を整理すると、どうやら俺の身体は慣れない過大な魔力放出に悲鳴を上げ、それによりダウンしてしまった。しかも体温がかなり低くなり、人肌で暖めてくれたようだ。有り難い話だ。


「あ、ありがとう。流石にもう理性が持ちそうにな、無いから、着替えてくるよ。俺が部屋から出たら服を着てね!」


 俺は落ちている服を拾い、風呂場に逃げ込む事にした。特に股間を厳重に隠して。その、おっきしています・・・はい。


 イリアだと思うが、まあ可愛らしいお尻だ事!とか聞こえてきたので、俺は真っ赤になっていた。


 それはさておき、この島に来てから倒した魔物からは殆どスキルを奪えていない。


 種族固有のスキルは奪えなかった。俺のギフトも万能ではないという事だ。


 皮肉にも死者蘇生した者からはしっかりと奪えたが、調理とかベッドメイキング、赤ん坊の寝かしつけ等、あまり役に立ちそうにないスキルばかりだった。


 調理は魚を3枚におろしたり、野菜を刻むのはスキルで出来るが、料理の知識が無い為、味付けとは関係ない盛り付けは綺麗にできそうだが、今後の戦闘にはあまり役に立ちそうにない。味付けはスキルとは別だ。スキルとは技能や技術であり、知識とは別なのだ。


 風呂に誰かが入って来るイベントもなく、軽く身体を洗い流した後、食事にした。ウエルカムで待っていさえしたのに!空気を読め!とは口には出せない。


 食事の後町を見て回ったのだが、俺を見ると人々は深々と頭をさげたり、地面に頭を着けて感謝をしている。何故だ?大した事はしとらんぞ?既に対価は貰ったぞ?


「や、やめてください!どうか頭を上げてください!俺そういうの苦手なんです」


 そうやって起こした者は中年の女性で、俺はその女性の子供(小学生位)に抱き付かれ、感謝をされた。

 俺は戸惑っていた。俺が生き返らせた者の中に、この子の親兄弟?友達がいたから感謝しているのか?又はそのどちらか?両方?分からない。


 何度かそういった事があったが、俺達も町の復興に対して手伝う事にし、手付かずな半壊した家の片付けからスタートし、3日程行っていた。


 その後、島外から応援が来始めたので、俺達は再び修行に繰り出す事にした。


 因みに奴隷にした騒ぎの元凶者については、すっかり忘れ去られていたのであった。

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