第38話日本の政治




宿泊ホテルでの食事後、のんびりしている中で部屋を「コンコン」とノックする音がした。


「誰だ」


「ジョンです、お知らせしたい事が」


「入っていいぞ」


「失礼します、私の友人からの知らせなんですが、日本が凄い事になってるそうです」


「どうんな事だ」


彼は部屋のPCを使った、映し出された動画を見て驚いた。

佐々木理華子が記者会見をしている。

画面に映る彼女は、凛々りりしく背筋が通っていた。

多くのフラッシュが彼女を照らしている。



「私は国際ギルドでトップを任された佐々木理華子です。

今回、日本政府が加盟するに当たり、私が直に訪問する事にしました。


加盟前に日本国民の皆さんに、知ってもらいたい事があります。

御存知の方も居るでしょうが、私は日本政府に不当な扱いを受けてアメリカに亡命しました。


アメリカ政府からの報告を受けた日本政府は、トカゲの尻尾切りで終わらせました。

そしてあろうことに私の両親を脅しました。反社会勢力を使って父親を全治1ヶ月の負傷を負わせました。

それを指示したのが地元警察です。そして、その指示をたどると現職の総理大臣が命令元です。

これは事実です、私のスキル千里眼が見ていました。


これらの一連の事件に係わった人達の汚職をここで発表します。


総理大臣A社から2億円・B社から13億円・C社から15億円・・・


それ以外にも閣僚に汚職事件が有ります。

官房長官O社から1億4千万円・P社からも2億円・Q社から1億8千万円・・・



詳細しょうさいはここにメモリーが有りますので、どうぞコピーをして下さい。


私は忖度そんたくを求めていません、罪を犯せばその罪に見合った刑罰を求めるだけです。


最後に汚職に係わった会社関係者に忠告しておきます。

真実を話さない場合は、それ相当の報いが来る事を覚悟して下さい。

それは株価の暴落かも知れません・・・

発表は以上です。」



フラッシュがバチバチと画面を光らせていた。

彼女に突撃インタビューする者や、メモリー争奪戦も始まっている。


俺は知らなかった、あえて知らせなかったのかもしれない。

権力が無かった自分達は、悔しい思いをした。彼女は特に悔しいかったのだろう。


俺の両親は他界しているし、親戚のつながりも薄い。

彼女に辛い思いをさせた事に後悔が残ってしまった。


この会見が1日前だから、今の日本を見ることにした。



国会前でデモをしている群集が映し出された。

プラカードには[総理ヤメロー][日本の恥]などが書かれていた。


若者も多く参加していると、レポーターが必死に報告していた。

警ら隊もただ見ているしか無いようだ、自分達も当事者であった。

国民を裏切った気持ちがあったのだろう。

国会に雪崩れ込む事がないようにしているだけだ。


この群集が何時自分達に来るか、恐怖しているのかも知れない。

その切っ掛けを作らないよう見守っている。


それは、他府県にも及んでいるとニュースキャスターは熱く語っている。


今の日本は熱くなっていた。



彼女に電話すると「わたしどうだった」


「うん・・・ごめん、そんな事になっていたなんて知らなかった」


「あなたに知らせたら、どうしていたかしら」


「ぶん殴ってやるよ」


「ありがと・・・う・・・」


彼女が亡命した当時は、今起きている事を千里眼で見るしか出来なかったが。

レベルを上げた事で、過去の事が見えるようになった。

もっとレベルを上げていけば、未来を見る事が出来るかも・・・




次の日、国会は終わっていた事で総理大臣を筆頭に逮捕者が続出。

財務大臣・総務大臣・法務大臣・外務大臣・内閣官房長官・防衛大臣。

検事総長の号令の元、検察組織の威信が掛かった逮捕だった。

関係会社の書類と証言がすんなりと得た事が大きかった。


今の日本政府は政府空白を生み出し、与党内でも混乱を強いられる状況下。

国際ギルド加盟も保留になってしまった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る