第37話光魔法




あの日から5ヶ月が経過した、ダンジョンも5階層になっていた。

自国のみでダンジョン攻略を頑張っていた未加入国が、国際ギルドへ続々と加入しだした。

その事で更なる力を付けた国際ギルドで、佐々木理華子は【グランドマスター】に選ばれていた。

国際ギルドを束ねる地位に登り付いた。


株で儲けた資金や人材を使って、千里眼で交渉を有利に導いた事もあった。

それは彼女の隠れた才能かもしれない、俺はそれを見るだけだった。



そんな彼女の活躍を応援しながら、今はスイスに居る。



なぜ居るかは、死の地下ダンジョンがスイスで発見された。

それを攻略出来るのが、今は俺しかいないからだ。

そこで国際ギルドの要請で光魔法専用育成プログラムの発足の為。

ここスイスで拠点作りをすることになった。


今は登録されている光魔法持ちは、30人だけであった。


もっと増やすべきだと各国の主張だった。


世界中から50人がここに集まっている。

結構なレアな魔法が習得出来ると希望に満ちていた。

レベルも3~5までの低レベルの人達を、一人前にしないといけない。

苦労と時間だけが掛かる案件であるが、しかたないと諦める。


「俺が責任者の青木だ」横で通訳が英語で話す。


俺の場合は、1対1の対面でしか話せないからだ。


英語圏以外の人は隣の通訳で聞いている。そんな光景を見ながら話す。


「死の地下ダンジョンに5人と俺が入って、実際に戦ってもらう」



死の地下ダンジョンの周囲に、ファランクス20mmガトリング砲が3基設置されている。

レーダーで捕らえた獲物を自動で攻撃する事が出来る(全自動迎撃システム)。

シムコウモリ用に設置された物だ。

当初スイス側は、死の地下ダンジョンの存続を猛反対をしていた。

シムコウモリの大群に恐怖したからだ。

ファランクス設置で、スイス側もやった死の地下ダンジョンの存続を許すようになった。



そんな重々しい設備の中を通って地下ダンジョンに入る。


俺はハンドサインで指示をだす、それに従う隊員達。

ハンドサインを共通言語の変わりに使用している。

なのでシンプルな行動命令になり、伝達が早い。


マーカーを指差す=味方だ

親指を下に突き出す(グットの反対)=敵発見

親指を上に突き出す=クリア・了解

手の平を水平に首へ=危険

手の平を突き出すと=ストップ



指名してシムコウモリを討伐させた。

何度か討伐して、光魔法を取得する者が現れた。


1人、2人、5人と習得。


取得した光魔法を使って討伐させる。

光りが周りを照らしている。

それを浴びたシムコウモリ達は、奥へ奥へと逃げていった。

その隊員はレベル0から光魔法1へとレベルアップした。


ジェネラルリザードマンのザザを召喚する。

突然現れた事に、パニックになる者がいた。

マーカーを指差してなだめる。しかしダメだった。


「俺には召喚獣が居ると言っただろう。忘れたのか・・・」



ザザは硬いうろこおおわれているので、シムコウモリの牙は通じない。

その為のザザだ。指示を出すと奥へ消えてしまう。


戻って来たザザの指の間にシムコウモリの足が挟まり、合計8体。

淡い光に近づけると必死に指にかみ付くも、動じないザザ。

力尽きて消えるシムコウモリ、隊員はレベル3光魔法3へとアップ。

それを繰り返してレベル8までアップしたのでメンバー交代。


朝8時から始まり16時に終了、30人がレベル8までアップした。

後は明日にまわす事にして、指定ホテルに向かう為車に乗り込む。


彼女の着信が鳴ったので出ると、なんでも日本代表と会うらしい。

俺に言いたい事が有るかと聞かれたので「ないよ」の一言を言った。




「昨日の30人は、支援軍人から格闘技を習うように。心配するなレベルアップで強い肉体になってる、しっかり頑張れ。残り20人付いてこい」



何度か討伐してレベルアップを繰り返し、最後の5人で親コウモリ発見。


ラムコウモリ


レベル 5


HP1200/1200

MP300/300


スキル

俊敏 繁殖はんしょく  


魔法

毒魔法5


弱点

火 光


更に置くにも親コウモリが居る。

ここは減らす意味で、この親コウモリを倒させることにした。


全員で光魔法を指示すると、次々光の球が出現。

増えるごとにもだえ苦しみ、落下した状態で口から泡を出し続ける。


そして消えた。


みんなの顔が安心している、レベルも9にアップした。


奥に進むと階段が、それを見た全員の顔が引きつる。

事前に知らせた怪物データーを思い出しているのだろう。


俺はガスマスクと防刃手袋を手渡していく、全員がキビキビと装着をする。

衣服も防刃機能が付いている、万全に近い状態で挑む。


ココからは全員、光の球を出した状態で階段を降りる事にした。



10メートル進んだ所で5体の動くものが見えた。

ヘルペストが現れた、そして光に照らされ動きが鈍くなり止った。

呼吸が荒くなり「クックク」と鳴くと消えていくヘルペスト達。

5人もの畳み掛ける光攻撃に自信が付いたようだ。



ヘルペスト20体討伐してやっとグールが現れた。

その腐りかけた顔面を見て、後ずさりする者も居た。

動きが鈍いし慌てる必要はない、光を浴びせればいいのだ。

隊員達が近づくと鈍い動きで逃げ出した、後を追い続けると倒れ。

光に苦しみ徐々に崩れて消えた。

5体討伐で隊員のレベル11にアップしていた。

頃合だと感じたので地上へ戻る事にした、皆の顔もホッとしている。



地上の隊員と合流すると、先ほどの話で盛り上がっている。


軍人から格闘技の報告がされた、内容はいい報告であった。



今日もやっと終わった。



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