第35話黒竜江省




4階層の紫大トガゲは、紫の毒きりを吐きながら息絶えた。


『主、この紫魔石が欲しい』


そう言って、り寄ってきたのはキラだった。


「頑張ったから、食っていいぞ」


『いただきます』と言って食ってしまう。


『苦味があって、後を引く味だーー』


またもや味の評価している。

そんなキラをほって置いて、目の前のコアに魔石を叩きつけて壊した。

キラキラ壊れた途端に、地上へとワープ。


髑髏騎士どくろきしのドクロが『やりましたな主殿』


「ああ、やっと終わったな」




俺らは中国に居た。

中国東北部の昔は満州まんしゅうと呼ばれた地域だ。

そこの黒竜江省こくりゅうこうしょうのど田舎のダンジョウを攻略したのだ。


ただの攻略だけでなかった。


この辺に出没する木人を、全滅させる役目を担っていた。

その原因のダンジョンを攻略する。その1段階は終わった。


その木人は、村々を襲っていた。

結構な被害が出ていた。討伐の軍が出動。


誰1人も帰って来ない。



だから木人を探して、全滅させるのが本来の目的だ。

思っていた程に手間取っている。

森の一部となった木人は、中々見分けがつかなかった。


独特の匂いもなく。気配も感じさせない。

後は近づいた時に襲って来る木人を討伐するしかなかった。



魔石召喚獣は、動き回りながら襲われ続けて、返り討ちにしていた。


最後は、オロチを召喚して森の木々を倒して殲滅せんめつする作戦に出た。

どでかいオロチは、木を倒すのも早く、木人も一緒に倒していた。




そんな時に、開けた場所へ出た。


「なんだこれは・・・生きているのか?・・・」


「た・す・・け・・て・くれ」


「あ・あ・・・ぁ」


助けを呼ぶ声に混じって、うめき声も聞こえる。


男の背中から木が生えていた。

木の根っこが、男を押さえ付けて動けないようにしている。

それはその男だけでなく、大勢の人間が同じように動けない。


中には動かない人間もいる。


そして朽果くちはてた人間も多い。


木人になる為に、人間を栄養源にして成長していた。



たまらず斬撃を放って、木を切り倒した。

切った切り口から大量に血が噴出。

男は死んだ。


木の根を人間からがすことは無理だった。

肉ごと剥がれ、大量に出血して息絶えた。




俺は衛星無線で中国ギルドに連絡をした。

アプリを使っての、通訳での会話だ。

たどたどしい会話だが、内容は分かったようだ。



「皆、このような場合は呼んでくれ。それ以外は倒せ。魔石は食っていいから」


『分かり申した』


『主、わかったよ。たくさん食べてくるよ』




2時間後に魔石召喚獣は、戻って来た。


『主殿、もう居ません』


『全て倒しました』


『倒したよ』


魔石召喚獣は、満足そうなので魔石に戻した。




3時間後、軍用ヘリからロープを使って兵隊たちが降下してきた。


そしてその惨状さんじょうを見て、思わず目をそむける者が多い。

しかし隊長なのか、しかり付けられていた。


兵隊に緊張がはしった。

そうなると動きは早い。救護員は被害者に色分けされたカードをくくり付けていた。



俺は近くで救護活動を見ていた。


女性に注射をして眠らせてから、メスで丁寧ていねいに切り離していた。

成功したように見えた。


しかし救護員が、むなしく首を振っている。




オロチが倒した木が、知らない間に片付けられていた。

木が抜けた穴には土が埋められて、広い広場が出来ていた。



そしてそこに軍用ヘリが土を舞いあげながら下りた。

俺はそのヘリに案内されて、その場から飛び去った。


俺はむなしく、下を見ていた。




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