第28話予知夢




軍関係者と話し合った結果、例の地下ダンジョンを危険ダンジョンと認識した。

その為に危険を意味する呼び方で呼ぶようになった。

そこで正式名【デスダンジョン】和名【死の地下ダンジョン】に決まった。


光魔法持ち以外立入り禁止と決まり、カナダ国内及び海外に発信された。

俺が調べ回った結果。2つがダンジョンで、残りが9つが洞窟どうくつの巣であった。


そしてカナダ内にもギルドに似た組織があった。

その組織から、討伐要員育成プログラムの要請が持ち込まれた。

それなりの報酬も払うと約束された。

そして軍部と政治家からも頼まれた。


俺1人に対して、16人が色々と説得してくるし、女性政治家は泣き落としまでしききた。

娘が被害にあい、どれだけ悲しかったかを1時間以上も聞かされた。

もうそこまでなると、苦行でしかない。そして俺も折れてしまった。

面倒だと思いつつ引き受けた。

アメリカでの苦労が、又再開する羽目になった。



夜空に舞うシムコウモリは、俺らが全て全滅させた。

空を飛ぶ召喚獣には、いいレベルアップになった。




しかし、シムコウモリの巣に生き残りがいないかの確認作業が残っていた。

そして、軍用ヘリで目的地の近くで降りて、巣穴までは歩きだ。


最初は崖下の裂け目だ。崖からロープを垂らして降下して入って行く。

入ったのは、軍の特殊部隊とギルド員の混合隊。


「やはり居ませんね」


「ヒナが居ないかよく探せ!残っていたら又大変だからな。あんなことは1度だけでいい」


「了解しました。わたしが浅はかでした」


「分かればいい」


サーモグラフィ(熱画像計測装置)での確認も行なわれたが、やはり居なかった。


1日目  巣穴確認2ヶ所 シムコウモリの出現なし


2日目  巣穴確認2ヶ所 シムコウモリの出現なし


3日目  巣穴確認2ヶ所 シムコウモリの出現なし


4日目  巣穴確認2ヶ所 シムコウモリの出現なし


5日目  巣穴確認1ヶ所 シムコウモリの出現なし



ようやく全巣穴には、シムコウモリの生存はなかった。

明日からは、いよいよ死の地下ダンジョンに挑むことになるだろう。



その夜にシムコウモリの目撃証言は無かった。

早朝にはカナダの全国ニュースで【恐怖の夜は永遠に消滅した】として流された。 

国民は大いに喜び、祝いながら叫んでいた。


「カナダに繁栄はんえいあれ」


「未来に永遠あれ」


夜の外出禁止が解除されて、人々は歓喜した。




昼間の死の地下ダンジョンの出入り口にギルド員5人が集まっていた。


軍の小隊は、ダンジョンの出入り口に重機関銃を向けて待機中だ。

逃げ出したシムコウモリを一掃する。そんな作戦だ。

もう1つの死の地下ダンジョンも、別の小隊が5日前から24時間体制で管理している。

今までにシムコウモリが出て来た情報はない。



「さあ、入るぞ」


俺の言葉を合図に全員がダンジョンに入った。


召喚獣のザザとドクロとブラックに、皆が警戒けいかいしている。

それは仕方ないことだと諦めていた。

しかし、あからさまな目で見られるとこっちにも嫌な思いがしてくる。


あ!ドクロがジャンプしてシムコウモリを捕まえた。


「誰が仕留めるか決まっているのか?」


「わたし、ヘンリーが1番目です」


30代の男が名乗り出て来た。

手にはロングソードが握られていた。


ドクロの右手で暴れるシムコウモリに、ためらいなく首に突き刺していた。

首がもげ落ちると、シムコウモリは消えてしまった。


俺は鑑定で知っていたが、この男はレベル3だった。

後どれくらい倒すとレベルアップするかは、鑑定では分からない。

自分自身の場合は、なんとなく分かるのだが・・・



幼さが残る女性が、2つのナイフでシムコウモリの首を交差して切り落とした。


「あ!光魔法を習得しました」


その女性は、仲間と抱き合って喜んでいる。

レベルが低いと、たまに魔法を取得する確立が高い。

なのでこのダンジョンで倒せば、光魔法を取得すると思っていた。

やはり正解だった。


これ以降、2人が光魔法を取得。


そして、コアを見つけた。

初めの取り決めでギルド員が光魔法を取得した場合は、俺がコアを壊してもいいと決められた。

取得しなかった場合は、ギルド員がコア破壊をする決まりだった。


なので俺がコアを破壊した。

そして今回のダンジョンコア攻略で、俺は新たなレアスキル【予知夢】を取得した。



残りのダンジョンは、このメンバーで教官になって鍛えてくれるだろう。

光魔法を取得したのだ。もう心配はいらない。

ダンジョンを1つにしたのも、カナダ政府の考えだ。




今アメリカに戻る機内でウトウトとしていた。

それは嫌な夢だった、自分は疲れていたのかも知れない。

3日間の休暇だと知らされたので気が緩んだのかも。



彼女、佐々木理華子の豪邸に居る。

白を貴重にした西洋風が前面に出ている。俺的には違和感が残る感じだ。

そして日本では考えられない規模だ。門から豪邸へ車で結構走った。

玄関を開けると、更に広い空間があった。

2階へゆく階段もあった。


入ろうとすると止められた。


「奥様から土足厳禁とおおせです」


そうなのか? そこは日本風なのか・・・


俺の部屋だと案内されたが、広かった。


テレビを付けるが、言葉が余り理解できない事を思い出し消した。

PCで日本の動画見ていた、そして歌が流れてきた。好きだった歌だ。

そして頬に涙が流れていた、昔を思い出しての涙だ。

涙を指でぬぐいなが聴き続けた。。




少し居心地の悪いベットで寝る事にした。



眼を覚ますと周りは暗くなっていた、ヒタヒタと足音が聞こえる。

振向くとガウンを羽織った彼女だった、俺のベットに潜り込んできた。

そして唇を重ね合い、一夜を過ごした。



この事は、予知夢で知っていたが複雑な気持ちだ。



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