第26話カナダ




ガスが大空を気持ちよさそうに飛び回っている。

たまに出てくる空を飛ぶ怪物を、一瞬で倒してコアを食っている。


このガスは、小型タイプのまま進化をげた。

隠密スキルが進化にも変化を与えたのかも知れない。


進化した事で、更に隠密に磨きが掛かっている。

空を飛ぶ怪物に、一切見破られずに仕留めていた。

なのでカズのおかげで探索スピードが早くなっている。



今軍隊は、探索範囲を拡大して住民を探している。

しかし、あれから住民は発見出来ていない。


探索途中で地下ダンジョンが発見される度に、俺が呼び出される。

そして魔石召喚獣が怪物を殲滅せんめつした後に、発見者がコア破壊する為に潜る。


コア破壊を誰がするかで当初もめた。軍が下したのが発見者。

最初に発見した人が裁判に掛けても訴えてやると、権利を主張したからだ。

そんなに何を求めているのだろう。



ガスが大空を旋回して、ダンジョン位置を知らしてくれる。


ダンジョンの穴に、取囲むように魔石召喚獣が揃っていた。


「皆でやってしまえ」


その号令で、ダンジョンへ突進してゆく魔石召喚獣。

中で戦っている音が聞こえてきた。



しばらくすると『主殿、コアまで案内します』とドクロが言ってきた。


案内されるまま行くと、コアが光ながら浮かんでいた。

もう慣れた手つきで、コアを壊してしまう。



あれから12のダンジョンコアが破壊された。

その内の7つが、俺が破壊した。

ひさしぶりに魔石召喚師のレベルアップをした。

最近は、コアを壊してもレベルアップしなかったのに・・・

今回で、魔石召喚師9まで上がったので、これ以降はもっとコアを壊さないといけないのか・・・




2日後にようやく住民が発見された。

何でも探索スキル持ちをリーダーにして、逃げ回っていたらしい。

4220人の集団だった、それを切っ掛けにあっちこっちで住民の発見が増えだした。

そして住民の情報でギガスライムは、仲間の怪物を捕食していたらしい。

空中で怪物が溶かされていた場面を、スマホで撮られていた。

見ていて吐き気がする動画だった。



だから探索時に、怪物との遭遇そうぐうが少なかった理由が分かった。

これはあくまでも推測だが、本来スライムは人間より弱い存在だ。

何らかのアクシデントで同種のスライムを捕食して味を知った。

そして捕食し続けてステルス機能を手に入れた。


次の段階は、スライム以外の怪物と人を捕食することだ。

そして飛躍的にレベルアップして進化した。

これが俺の考えた話だが真実は分からない。





そして俺に又もや、緊急の呼び出しだ。



幾つか乗り換えをして、カナダに降り立ち空を見上げた。

日は傾き、空には雲が赤く染まり始めていた。

カナダの夕日か・・・違った意味で神秘的だった。


ジェット機に横付けした車から1人の男性が走り寄って「急いでください」

急き立てながら車に乗り込むと、車は走り出した。


ジェット機は、逃げるように飛び立ってしまう。


空港の建屋に入り込むとシャッターが下ろされた。

窓は厳重げんじゅう封鎖ふうさされて、シャッターにも厳重にバリケードをしている。


そして建屋の会議室で話し合いが持たれた。緊迫した中でドアが開き「来ました」

それは吸血コウモリの大群だった。

翼を広げると50センチ~80センチの吸血コウモリが、暗くなった空を埋め尽くした。

聞いた情報によると、噛まれると全身麻痺に為り、そのまま血を吸われ続ける。

そしてそのまま死んでしまう、悲惨な死をとげてしまう状況だ。


1万近い数で行動して、その集団数は12集団にもなっている。

3メートルの吸血コウモリが人を掴んで、飛んで行く目撃証言も有った。

暗くなると現れ、朝日が昇る前に居なくなるそれが現状で有った。


「巣の場所は分かってますか?」


「分かってません」


「吸血コウモリが帰る方向は分かってますか?」


「いえ分かりません」


なにも分かってないのか? 普通は調べるだろう。

もしかして、調べに出て死んでしまったのか?


「分かりました。俺が調べます。集団が帰る方向を3つ以上分かれば、地図上で線を引けば大よその場所が分かると思います。それを俺が探し出して潰してみせます。どうですか?」


「お願いしていいですか?」


俺がガスを召喚して夜空に放った。

ガスからの情報で、地図に何本も線を引いてゆく。

それを3日間続けて特定出来た。


「ここに間違いない」交わった点を12個を指差した。

1つ1つ潰してゆくしかない。


「これを全て探すのですか?」


「そうですよ、探し出すしかありませんよ。手始めに1番近いここへ行きます」


「そうですね。それしかありませんね」



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