第21話討伐要員育成プログラムⅣ




ニューヨーク郊外の空をへぼ男たちが、大きな声を出しながら飛んでいる。


「力を抜いて!、もっとバランスを取って!カータに笑われてるぞー」



隣の彼女が笑っている。

1時間近く飛んでいるのに、まだ慣れていない。

レベルが上がり、身体能力も通常の人間より段違いに上がっているはず。


只精神面は上がっていないようだ。それともカータたちを信用していなのか?。


今日は30体討伐予定だ、こんな事に時間を掛ける積もりは無い。

俺達も飛び立ち、低い高度で怪物が居る方向に飛ぶ事にした。

3人も高度が下がった事で大人しくなった。しかし後の方では愚痴ぐちが洩れている。




最初の怪物はハイオーク、キラ達は逃げないように包囲している。

逃げ場がないと悟ったハイオークは向かってくる。

ビルも走り出して交差した瞬間に、ハイオークの首を切断していた。

振り抜いた大剣をゆっくり下ろすのと同時に、ハイオークも消えた。

ビルは満足そうに振向いて、俺たちの方へ戻って来た。




サラマンダーに対しては、スコットが風斬りで攻撃。

向かって来ると、安全距離をキープしながら後退している。

移動しながら風斬りを打てるようになっていた。

サラマンダーが負傷して止まってしまった。回復を行なおうとしている。

ここぞと風斬りの攻撃が激しくなり。サラマンダーは消えていった。




次は岩トカゲ、見た目も頑丈そうだ。

スコットは遠くから風斬りで、岩トカゲの眼を狙って攻撃。

岩トカゲは眼を閉じられて防いだ。

うっすらと眼を開けてスコットを確認。

岩トカゲが凄い勢いで向かって来ている。スコットは急いで後方へ下がる。


その間にビルが後方に回り込みながら、大きくジャンプいて岩トカゲの岩のスキ間に大剣を突き刺した。

そして前後に揺らしながら、更に押し込んだ。


岩トカゲは痛いのか、激しく体を動かしている。

そしてとうとう大剣が腹を突き破った。

そしてジャンプして大剣のつかに全体重を乗せて、地面まで突き刺した。

手足を必死に動かすが、体だけが地面より上がってしまい身動きが出来なくなった。


岩トカゲは、しぶとく未だに生きていた。


ビルは、予備の短剣を抜き岩トカゲを攻撃しようとしている。

岩トカゲの眼が黄色く点滅している。


「ビル下がれ!!自爆魔法だ!」


ビルは瞬間的に下がった。岩トカゲが爆発して周囲に岩を飛ばす。

彼女が張った結界がビルを岩から守る。

このタイミングで自爆魔法を発動するのか、見るのも始めてだ。

俺は岩トカゲを鑑定し続けていた、自爆魔法が点滅したので発動が分かった。


自爆魔法持ちには接近時に即死出来る攻撃以外、接近しない方が良いかも知れない。

ビルには怪我一つなく、顔だけが強張っていた。


「ビル大丈夫か」


「は・はい、大丈夫です」




地下迷宮近くに来たので、潜って見ると進化タイプはやはり居なかった。

怪物が74体居るらしい。情報収集出来たので地上に戻る。



最後の討伐移動では、カータにもようやく慣れたようだ。

今日中に地上の怪物をようやく討伐出来た。


これで地下迷宮までの道路工事と第2の拠点施設の建設が開始出来る。

地下ダンジョンの出入り口を監視するカメラも設置予定だ。



俺達以外の討伐要員を育成する機関では、死亡者や重傷者が多数出ていた。

中にはあきらめて辞めてしまう人が続出する機関もあった。

少し強くなって、怪物の怖さを忘れていたのだろう。





怪物の仔細しさいなデータも更新している。

どんな機関がどんな方法で育成しているのか聞いてみた。

育成方法は詳しく教えてもらえなかった。

情報の共有もない。上の方も色々と問題が有るのだろう。




ダンジョンから離れた町に来ていた。

町の住民は、俺ら乗る軍用車を見てなにやらうわさをしている。

急に軍の関係者がやって来たのだ。噂にもなるだろう。

討伐要員宿泊施設に着いた、出入り口の両サイドに兵隊が自動小銃をかまえていた。


補佐官ゲイツに敬礼している、俺は何となく緊張してしまった。

ビルにも敬礼していたので、ビルの階級は何だろうと思ってしまった。


何でも24時間の施設警護で、廊下や外にも真新しいカメラが設置されている。



宿泊施設は貸切で一般人はいない。働く人も、軍関係者らしい。

中のロビーでのんびりする事もなく。

米国連邦政府発行のギルド用身分証明書と部屋の鍵を渡された。

俺は各自の荷物を取り出し床に置くと、ビルとスコットは荷物を取って2階へ上がっていった。


彼女と2人で4階へ向かう、資料の写真より良く感じの部屋だった。

俺は401号、彼女は402号「後で行くよ」そう言いながら部屋に入った。



鑑定スキルで部屋を鑑定していく、盗聴やカメラ等は無い。

椅子にもたれ掛かると、心の奥深くに有った焦りが噴出してくる。

今直ぐでもダンジョンコアを攻略したいと焦っている。

高い天井を見上げて溜息が洩れる・・・



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