第9話東京ディズニー




ここはディズニーから近い、ホテル前の駐車場だった場所だ。

無残に車がひっくり返って、燃え尽きたのだろう。

鉄くずを晒していた。あっちにもあそこにも壊れた車が放置されたままだった。


一番ひどい被害なのは、ホテルだった。


11階のホテルは半分が崩れ落ちていた。

壊れていない半分から、ダークモンキーの鳴き声が聞こえて来る。


「キーキキ、キーキキ!」


佐々木さんは、眼をつぶり顔を振り払っている。


「許せない」


そんなつぶやきが聞こえていた。


シュートやカータやレッドとキラは、夜空を旋回して見守っていた。

ここのダークモンキーは、かしこいのか窓を壊していない。


夜空には、敵の怪物は存在していなかった。

佐々木さんの話だと、5キロも離れた所でたむろしているらしい。



ここもコアが発生した時には、開園していない。

なんので人の少ない場所であったディズニーは、余り被害は出ていない。

シンデレラ城の業務用無線のアンテナが、ぽっきりと折れているだけだった。

変わりに人が多いホテルが、軒並のきなみに被害が出ていた。


中には、ホテルの中央だけが大きく穴が開けられていた。

どんな攻撃で穴を開けたのだろう。

その穴に吹き抜ける風が、「ヒューゥ、ヒューゥ」とむなしく響いている。



「あの半壊した場所で間違いないわ」


「しかし、あのもっこりした物はなんだろう」


俺はジーとにらんだ。


「あ!あれは巨大なカメだ。カメがコアを守っているんだ」



巨大カメ


レベル 2


HP30000/30000

MP5000/5000


スキル

鉄壁 


魔法

防御魔法



「やるしかないのか・・・」


魔石を取り出しては、召喚してゆく。


ホワイトスネーク


オロチ


レベル 4


HP20000/20000

MP8000/8000


スキル

鉄壁 毒牙


魔法

防御魔法 newビーム



ダークやブラックと次々に召喚してゆく。


「ダークとブラックは、ダークモンキーを討伐しろ」


『わかったよ、主殿』と言い放ってダークは駆け出した。


ホテルの1階窓口をぶち破って、戦いが始まっている。


『又も置いてきぼりかよ』


黒い毛をいっそう黒くして、走り出した。


10階の窓ガラスが割れて、傷ついたダークモンキーが落ちてきた。

「グシャ」と音がして、しばらくすると消えていた。

そして、又もダークモンキーが落ちてくる。


3つ4つと増えだした。



「オロチ、あのカメをコアから引き剥がせ」


『分かり申した』


するすると向かってゆき、眼からビームが発射された。

カメは魔法を使ったのか、甲羅が淡く光っていた。

そしてビームを跳ね返している。

跳ね返ったビームは、隣のホテルを壊した。



カメの近くに来たオロチは、その甲羅に巻きついた。

そのままカメを空中高くに放り出した。

カメは手足バタつかせるが、なにも出来ないまま地面に打ち付けられた。

バウンドして、運悪く甲羅が下向きだ。

首をめいいっぱいに伸ばして、甲羅を持ち上げようとしている。


しかし、オロチがその首に噛み付いた。

カメの首がすぐに紫色に変色して、手足が小刻みに震えだした。


「パリン」と弾ける音と一緒に、巨大なカメは消え失せた。


俺は駆け出した。

消えたカメ跡には、1つの魔石があった。

そのまま収納。


そして、別の魔石を取り出した。

そのまま走り出して、コアに魔石をぶつけた。

コアは飛散して無くなってゆく。



青木優


レベル 20


職業:魔石召喚師4


HP250/250


MP600/600


レアスキル


Box


スキル


鑑定 敏捷 回避


魔法


火魔法Max


召喚獣が魔石を回収して来たので、今度は5キロも離れた怪物を倒しに向かった。



大小のビルにとまっている怪鳥は、眠り込んでいる。

すっかり油断している状態だ。


俺のキラ・レッド・カータ・シュートに比べると一回り大きい。

あの怪鳥に勝てるのか? 鑑定して強さを確かめよう。


「早く攻めなさいよ」と佐々木さんにこずかれてしまう。

最近は、気の強い発言が多くなってきている。


仕方ない「攻めろーー」と作戦も無いまま命令を下した。


怪鳥がとまっているビルに、魔法攻撃が降り注いだ。

崩壊ほうかいしながら、13羽の怪鳥は生き延びている。

13羽いた怪鳥は、協力することもなく倒されていた。

中には怪鳥同士がぶつかって、地所へと落ちてくる。

そんな落ちてきた怪鳥は、ダークとブラックが襲い掛かった。

翼をもぎ取られていた。

ああ、可哀想に・・・


なんだ、作戦を考える必要もなかった。

回収された魔石を褒美ほうびにやると、『うまいぞ、うまい』と食っている。

そして、ダークは淡く光っている。


「さあ、そろそろ引き上げますか・・・」


「そうね、ここには用はないわ」



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