第2話試練のその後




俺が降り立った停留所に戻って来た。

俺が捨てたバックを見つけ出して、無事に回収できた。

ここに来るまでに魔石を3個拾う事が出来た。


ハイオーク魔石レベル3


ハイリザードマン魔石レベル3


オーク魔石レベル8


この怪物達は、人を殺してレベルを上げて、そして進化した奴までもいる。

ならば、その魔石を猪ノ丸に食わせればレベルアップするような気がしてきた。

オーク魔石レベル8を猪ノ丸に投げ渡たした。


猪ノ丸は、大きく口を開けて、そのまま飲み込んだ。

すると微かに光りだした。


オーク


名:猪ノ丸


レベル 8


HP800/800

MP16/16


スキル

強力 new鉄壁


やっぱりレベルアップした。


東京駅から這い出した怪物達は、コアを壊した事で全滅したのだろう。

100体以上も居たはずだ。どれだけ回収できるか分からないが探しに行こう。



それにしても静かだ。


あの惨劇を見た人達は、恐怖と絶望を感じただろう。

きっとビルの中で息を潜めて隠れているかも知れない。


それは仕方ない事だ、猪ノ丸が横に居れば隠れるしかないのだから。




魔石探しをしている途中で、死体だと思っていた女性が少し動いた。

近づき確認すると息をしている。しかし下半身が血塗れ状態。

生きている事が不思議な血の量だ。


佐々木理華子ささきりかこ


レベル 0


HP10/10

MP30/02


スキル

千里眼 


魔法

回復魔法1


成る程、回復魔法で回復したのか。

必死に回復したのだろう、MPを使い果たして気絶したのかも知れない。


「大丈夫ですか!大丈夫ですか!」


体を揺すりながら、何度も声を掛けた。


「確りして下さい」



「う!あなたは、あ!怪物」


「こいつは、俺の仲間です。襲ったりしませんので怖がる必要はありませんよ」


そう言いながら猪ノ丸の腹をペシペシと叩いて見せる。

少しは安心したようだ。


そして今までの出来事を簡単に説明して納得してもらった。


「半透明状のタブレットを意識すると現れます。絶滅のクエストも無くなっているでしょ」


半信半疑に操作をしている。


「とりあえず人類は助かったんです」


「本当だ、無くなってます」



「佐々木さん、魔石探しに協力してくれませんか」


「え!名前、名乗ったかしら」


「鑑定で見たんです、千里眼を持ってますよね」


「ええ持ってます」


「この魔石なんですが探せますか」


魔石を手に取り、しばらく沈黙が続いてしまった。


「あのベンチの後と潰れたタクシーの下に有ります」


言われるまま探すと、魔石は確かにあった。


「佐々木さん、凄いスキルですね」



佐々木さんの腹部から下が血だらけなのに気付き。

「とりあえずあのコンビニで、衣服を着替えましょう」

「衣服は、男性用ですが我慢して下さい」

バックからパーカーとジーンズを取り出して渡すことにした。


「コンビニの中にも、死体があります。きついかも知れませんが、大丈夫ですか?」


「頑張ります」


下着類はコンビニ内で調達して、タオルを濡らして拭いているようだ。

手洗いの水の音が何度も聞こえていた。


俺は後を向きながら、スマホで検索していると注目する動画を発見する。

警官達と怪物の攻防戦を見ることが出来た。警官達の拳銃を撃ちつくしても倒れない怪物。

その後は、怪物の一方的な蹂躙じゅうりんで終わった。

ビル上からの撮影で、手振れ状態の動画と「何なんだ、呆気ないじゃないか」

悲痛の声が最後に聞こえる動画で、今の現状を伝えていた。


そして、怪物のことでもちきりだった。

東京の怪物出現情報は、6ヶ所に及んでいる。

警視庁前・東京駅・代々木公園・台場公園・中川公園・駒沢オリンピック公園。

以上が検索で分かった事だ。


それ以外にも大阪や博多などにも、怪物は現れていた。


それと、政府は自衛隊の緊急派遣を発動した。

そして政府緊急対策本部を設置して討議してるらしい。


俺は、その情報を佐々木さんに聞こえるように読み上げていく。


「振向いてもいいわよ」


準備が出来たようだ、振向くと綺麗な佐々木さんが居た。



佐々木さんの言われるまま、魔石を回収。

案外怪物の移動距離が広範囲に及んでいたので時間が掛かったが。

終わりがけに送って欲しいと頼まれ、送る事にした。


勿論、猪ノ丸は魔石に戻している。


歩いてしばらくすると、警察車両が道路を封鎖ふうさして警察官が拳銃を持ったまま警戒している。

佐々木さんに誘導されながら、どうにか封鎖を突破することが出来た。




佐々木さんの部屋に入り、二人は男女の仲に為った。

それは、恐怖と試練を二人で乗越える為に必要だったのかも知れない。



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