第42話 夏期講習からの罠③
真っ暗な空間に
まさに支配者と呼ぶに相応しく、その為の演出も研究に研究を重ねていたのだ。
どれだけじゃじゃ馬であろうともこの空間で脅して説得を続ければ最終的に素直に従うのだ。
「もういい、あなたはそこで反省する事。相手が誰であれ殺しは駄目、それが分かるまで出さない」
「改心しろというの?」
静寂な時間が過ぎるのだが、それは
むしろ、
だが、
「───分かった、反省したわよ、せめて姿を現せてよ、センパイ」
「分かってくれた……本当?」
「本当よ、センパイに言われた通りにするわ」
その言葉が嬉しかったのか、
「センパイ、そこに居たのですね……、デスサイズって事は西区の…」
「そう、私はマジカル・ノアール──」
「どう……して」
力が抜ける──
たかが大きな剣が脇腹に刺さっただけで、力が抜けるなんておかしいと思いつつ、顔面から地面に倒れた。
「センパイ、手元が狂っちゃいましたぁ、お願いですよ、センパイ、早くここから出してくれませんかぁ?始末しなきゃいけない人がいるんですよ~」
「騙したの……」
「あははははは、騙される方が悪いんですよぉ、勝手に拉致っといて何様ですかぁ?」
にこやかな顔は突如として変貌する。
まるで悪魔か何かといった感じに口は裂け、
「アタイにこんな事を良いのは
そう言って
「ほらぁ~、可愛い顔が血まみれになっちゃいますよぉ?それとも、その季節外れのマフラーを赤く染めちゃう?」
「それはッ………やめろ………!!やめろおおおお!!」
ぼたりぽたり滴り落ち赤い斑点がマフラーに染み込んでゆくのを顔面蒼白で見るしかなかった
そしてマフラーに突き立てられる剣に自身が刺されたよりも苦痛の表情を見せるのを
「あーーーはっはっはっは、ナニコレ、たかがマフラーに何感情移入してるの、バッカじゃない!?」
「それは、先々代から受け継い──」
「五月蠅いよ!」
剣を刺された部分をわざわざ蹴ってダメージを増やそうとするが、既に痛覚は遮断されており話を遮る以上の効果はなかった。
その事に少し苛立ちを感じた
「もしかして~、センパイ殺したら出れますかねぇ?
どっちでもいいんだけど~、ここから出さないと本当に殺っちゃいますよぉ~?
あははははははは──は?」
高笑いしていた
一発の弾丸が
その状態で気が動転しながらも呟いた。
「誰が?どこから撃った!?
“撃った”と言う事は
分からない、分からない!!分からない!!!!!」
悲痛な叫びだけが真っ黒の空間にこだまする。
重症になりつつそれを見ていた
「どうして?誰が!?弾丸?、
驚くのも無理はない、このマジカル・イクウカンへの出入りは
なのにそれを突き破り、更に対象を撃ち抜いたのだ。
もはや
だが、その同じタイミングで二人の葛藤を事を気にも留めない
『ごめんね、
その瞬間には
そうして、
二度目の侵入はこの空間の持ち主である
最早、偶然などではないのだから。
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