第37話 日常の再建、からの長い二日間⑪
相手は人妻だ、このタイミングを逃せば次は無いかもしれない。
しかも
「ごめん、俺、やっぱり
「──わかった」
それからは無言が続いたが、しばらくして
「
「駄目な事なの?」
「ううん、いいのよ。じゃあ帰ろっか」
「あ、あの、
「外で待ってるよ」
「どうしたの?早く着替えなさいよ」
「ねぇ、どうしてやらなかったって分かるの?」
「──えっと、それはー……、精液の匂いがしなかったから、かな?」
「そんなの
「ほら、イカ臭いって言うじゃない?」
「じゃあ、どうしてシーツを確認したの?」
実際、
「
その一言で観念した
すると
そして、今はその嘘に付き合う事と決めるまで少しの時間を要した。
「パパにはヘタレと言ったんだけど、ごめんね、あんなパパで」
「いいよ。元々大人と子供なんだから、相手にされなかったってだけだよ。気にしてないから……」
そう言った
***
しばらくして部屋から出て来た時、
そしてその帰り道、
「
「うん、助けてくれてサンキューね」
「実際助けたのは
「
そう言われて
褒められ慣れていない彼女は少し落ち着かない様子で辛うじて聞こえる声で「大した事してないし…」と呟いた。
「それで、別れるんでしょ?」
その言葉に一番驚いたのは
「うん、そうだね」
「丸一日もなかったけど、付き合えてよかった、ありがと、
「こちらこそ」
お別れだというのにキスをして
口が
そして、
***
その日の夜、沢山の赤いランプが北区の繁華街の周囲を照らしていた。
そこには大きな赤い水たまりが出来ていた。
そして、その真ん中には三人の上半身が並べられていたという。
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