第33話 日常の再建、からの長い二日間⑦☆
援助交際の事を咎めて止めようとしたのに、止めれなかった。
『引き留めてどうするの?買って来てくれるの?できないよね?妊娠しないかもしれないから様子見ようとか思ってる?それで妊娠したらどうするのよ、責任とれるワケ?取れないでしょ!だったら止めないでよ!』
キツイ言い方に堪えたというよりも、心のどこかで『妊娠しないかもしれない』なんて思っていた自分を見透かされていた事が辛かった。
その点、今回の自分がした事と言えば強引に押し倒して、有無を言わさず挿入し、抵抗される間もなく出してしまった事は最早、犯罪と言ってもいいくらいだ。
それでも、彼女が援助交際するのは止めたい。
そして、思い出してしまった。
慌てて自分の名前を言うとすぐ
「
「その、お金、貸して、欲しい」
「──使い道を聞いていいですか?」
恥ずかしいとは思いつつ、ありのままを説明したところ
「これが、アフターピルです。私にはもう不要なのでので差し上げます、いいですか12時間以内で99%以上の確率で避妊できます。ですが、完全じゃないですからね」
「あ、あり、ありがと………恩に着るよ!」
それがどうしてか本人すらも分からないでいた。
走りながらも
さらに、息づかいが荒くパンッパンッといったリズミカルな音がする。
『君が待ち受けに写っていた彼氏君かい?君の彼女は今、俺の愛を受け止めてるよ、はっはっは』
気づけば
無意識に通話を切り、スマホを地面に投げつけそうになるのを寸前の所で思い止まった。
それから、茫然としながらゆっくり歩み始め、暫くするとコンビニが目に入る。
駐車場の車止めに腰を下ろし、膝を抱えて泣きそうになっていた。
「今日はあの子じゃないのか、んで、何で泣きそうになってるの?」
コンビニの店員がアイスを持って声をかけて来た。
「今このアイスにはまっててさぁ、仕事サボる度に食べちゃうんだよねぇ」
何とも能天気そうだ、何も考えないでコンビニのバイトしているだけなんて羨ましい。
「お前もくうか?」
その店員は2本目のアイスを差し出してきたが、特に食べる気分でもない
「いや、甘いものは好きじゃないので」
「そうかぁ、じゃあ食っちまうぜ」
そう言いながら、本当に食いやがった。
「お前、天使ちゃんのお試し彼氏だろ?学校で噂になってたやつだな」
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