第2章
第7話 転校初日、授業について行けず我が道を往く
その日は魔宮市立北中学校二年C組の生徒達にとって、事件とも思えるイベントが起きようとしていた。
朝HRのチャイムが鳴り、いつもの様にやる気のない教師、
「突然だが、転校生を紹介する」
五月の二週目、中間試験も目の前という変なタイミングでの転校は訳アリだと誰もが思った。
そんな状況で生徒の一人が煽るように発言した。
「
「分かってるさ、だが、この転校生はこのクラスだからこそ受け入れられると思っている」
「まぁまぁ、
この先生、生徒からは
そして
小さいながらも背筋を伸ばし可憐に入って来きた転校生が可愛い女子と言うだけで騒ぎ出すのは当たり前だが、横から見れば明らかに突き出た胸(推定Fカップ)の迫力で圧倒してくる美少女が現れたのだ、騒ぐなと言う方が無理である。さらには何故か女子まで盛り上がっていた、それは入って来るときには胸に視線を集めていた為に分からなかったが、正面を向いた彼女は背丈の低さと幼顔、さらにはクリっとした目からくる子どもっぽさで母性本能をくすぐり、総じて小さな子好きの保護欲を刺激する容姿となっていた。
騒々しい状態は、
その時、誰もが信じられないと思った。
それは、転校生にプレッシャーとして圧し掛かっていた。だが、転校生は負けずに声を出す。
「初めまして、私は
「あー、御影さんは。新学期から転校予定だったが、訳あって最近まで入院してました、だから、お前ら勉強教えてやれよ」
そう言い終わると同時に
復学にあたり、
自称が『僕』のままだと
そこまでするなら苗字だって変えるべきではないかと
そんな事とは関係なく、
以前と同じ教室、同じクラスメイト、
その親友と言うのは
さらに
自己紹介を済ませたというのに、クラスメイトはとても静かだった。
まるで裁判で判決を言い渡される前の被告人にでもなった気分だ。時間がゆっくり進む感覚で
それもそうだ、双子の妹の存在なんて誰にも言った事もないし会わせた事もない。
その妹が兄と同じ教室に編入されるなんてブラックジョークとしてもタチが悪い。
疑惑の目で見られていると思った
ところが、クラスメイトの一人が質問をした途端に空気が変わる。
「付き合ってる人はいるんですかー?」
その一言がまさに号令となり次々と質問が飛び交い始めた。
「好きな食べ物は?」「お昼はお弁当派?売店派?食堂派?」「家はどっちの方向?」「何カップ?」「ホラー映画好きですか?」「スポーツやってる?」「竹の子派?シイタケ派キノコ派?」「今度デートに行こう」「パンツは何色?」「お付き合いを前提に結婚してください」「今から遊びに行こう」「幸福値どれくらい?」「踏みつけてください」「前はどこの学校に居たの?」
一瞬は質問に答えようとした
それから授業開始まで慌てふためくだけで何も言えないまま立ちつくし、席に座る事すら出来なかった。
授業の内容は1か月以上のブランクがあるのだから、聞いた所で理解は出来なかった。
授業を聞いていても理解できないのであれば自主的に勉強するしかないと考え、仕方なく教科書を頭から読み始める。
するとどうだろうか、何故かするすると頭の中に入って来る。
教科書がただの単語帳の様に見えて、時々戻ることはあれど次々と脳内に記憶される。
反復学習を必要とせずに次々と覚えられるというのは勉強を面白くした。
答えが決まっている物であれば、間違う事なく答えを導き出せる、それはゲームで無双プレイするような感覚だ、そうなると
そんな状況で、
だが、一カ月というハンデを乗り越える為には圧倒的に時間が足りない。
全教科網羅するには、家でも勉強する必要があると感じた。
だが、それを邪魔する者が現れる。そう、クラスメイトだ。
休み時間になる度に話しかけて来ては、放課後の約束を取り付けようとする。
だが、そこに寂しさがあった。
仲の良かった3人が誘ってくれなかっただけでなく、声すらかけてくれなかったのだ。
別人だから仕方がないのは理解している
体育の時間──
うっかり手加減に失敗すればワールドレコードを大幅に更新してしまう事が確実なのだ。
表向きは入院していた事を理由にし、学校公認で授業免除となり図書室で勉強していた。
だが、
尚、
学校が終わると、家に帰る途中で食材の買い出し、家事と近所の清掃、未だ段ボールに入ったままの荷物の開梱、整頓とやる事が多い。
お風呂から上がって落ち着いた頃には眠くなる。
女になった事で、ちょっとHなイベントや女である事の戸惑いとかがあってもいいのに忙しさに追われて、そのたぐいが一切ないと不満に思いながら、机に向かって勉強に励んでいるつもりだったが、それは既に夢の中だった。
あんな大けがをしたのだから、もう
それは
いっその事、激しく責めてくれれば気が楽になるのにと思う
そして、あれから心に決めた事があった。その事を完遂すべく、
それからしばらくして明かりがともったままの
『【HOTLINE】グループのお誘いがあります。』
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