閑話 暴れん坊にお悩み相談は向いていない

 退院して久しぶりに家に戻ったひかりだが、心乃葉このはには言えない悩み事があった。

 そう、それは男子中学生なら誰もが気になる事。

 心乃葉このはが用事で出かけている、今こそ、確認するべきタイミングなのだ。


 その悩みとは、ひかり禍堕まがおちに飲み込まれた時、ひかりの知ってるHな本であれば、そのままヤられてしまっている筈なのだ。

 残念ながら感覚が全て遮断されていた為にそういった体験には至らなかったが、実は体がそうなっていたとしてもおかしくないと考えた。

 そして、それをどうやって立証するか悩んだ末、導き出した答えは鏡の前でM開脚してアソコを直接見て確認する事だった。

 大きな鏡を用意して、それをすぐに実施した。

 限られた時間内に成果を上げなくてはならない。

 だが、そこで問題が起きた。


 恥ずかしくて直視できない!!!


 きっと何か膜の様な物があると思ったひかりは自分で見る事が出来ないなら手探りで確認しようとする。

 だが、そんな物はどこにもなく、恐る恐る内部まで指を入れるが徐々に痛くなってきた。

 もう無理だ、諦めようと思ったその瞬間、部屋のドアが開かれる。


「なにやっとん?」


 彩椰さやは部屋に入るなり、目に入った光景をみて全てを察していた。

 ひかりは真っ赤になりながらも服装を整えて無かった事にしようとしたが後の祭りである。


「まぁ、したいのはわかる、そりゃしゃーないやん。思春期やもんな。入院中できひんかった分、溜ってたんやろ?えーんやで、えーんやで、ささ、ウチに構わずやっちゃって!」

「できる訳ないだろ!」


 ひかりは最初、彩椰さやが何を言っているのか分からなかったがどうやら自慰の事だと理解して、少しため息をついた。

 ひかりは真剣な顔で「流石にそんな怖い事は出来ない」と言うと、彩椰さやは大声で笑いだした。


「いや、何ででけへんか聞いてええ?」

心乃葉このはちゃんから聞いたんだけど、魔法少女って力が強いから変に高ぶった時にアソコを壊しかねないって」

「そんな訳ないやん、それ、嘘やでー」


 ひかりは愕然とした、思わず四つん這いになって落ち込む程に。

 さらに言われた事を思い出して、確認する事にした。


「あ、あと、心乃葉このはちゃんは魔法少女は感度5000倍だから、絶頂に達したら死ぬって言ってたけど……」

「あははははは、なんなんそれ、ほんま、おかしいやっちゃなあ、5000倍ってなんやの、それも嘘に決まってるやん」


 ひかりはとても恥ずかしくなった。だが、恥ずかしついでに正直に今回の禍堕まがおちの件について聞いてみた。


「ああ、あれな──」

「え、知ってるの?」

「それで確認しようとしたわけか、まぁ分かる、分かるわぁ。でもな、それいつかは破れるモンやねん。運動系の子なんて未経験でも破れるから、いっそ気にせんでもえーんとちゃう?そういうんは心の中にもっとくもんやで。誰かに捧げたいならヤッてしまえばええんよ、ウチら中学二年やけど、魔法少女にとって年齢なんて関係あらへんからな。大人とヤっても法律にひっかかからへんねんで」

「そうなの?」

「うん、これはホンマやで。魔法少女って成長せいへんやん?だから子どもの姿で、いつまでもHでけへんって酷やろ?だからそうなってるねん。でも、学校行くんやったら教師には気を付けや?あいつらこっちを魔法少女と知っとるから口説きにかかってきよる。肩に手を置かれたらもう危険信号や、そういう時は兎に角逃げる事。これは絶対や、まぁその気があるなら流されてもええんやけどな?」

「長々と脱線してたけど、結局、僕は処女なの?」

「いや、それは知らんて、そんなん見て判るもんちゃうし、いっそ男友達に突っ込んで貰ったら?」


 結局判らずじまいになりそうだと思ったひかりはもやもやした気持ちでいた。

 ふと、彩椰さやはもしかしてさっさと誰かに捧げた口なのかという疑問が湧いて来た。

 これまでの話も経験豊富そうに語っている。

 そう思うと確認するかないという気持ちになって来るのは致し方がない事だった。


彩椰さやちゃんて、ヤったことあるの?」

「うん?あるけど?初めては大学生の頃なぁ、あれは痛かったわぁ」

「まって、今、中学二年生だよね?」

「そやで?ウチ、小中高大と卒業して、また中学はじめたとこやねん」

彩椰さやちゃ───、彩椰さやさんって大人なんだ!」

「いやいや、ちゃん付でええて、全然大人ちゃうよ。こないだもアレが激しすぎやて彼氏と喧嘩してな──」


 ひかりにとって興味津々な話題で食い気味に聞いている所に、タイミング悪く心乃葉このはが帰って来た。


心乃葉このはちゃんお帰り~」

「じゃましてるで~」

「あら、彩椰さやちゃん来てたんだ」

彩椰さやちゃんって、一度大学卒業してたんだって、知ってた?」


 ひかりが仕入れたばっかりの情報を教えようとすると、心乃葉このはひかりに詰め寄って睨みつける。


「あまりそういう個人情報流すの良く無いと思うわ」

「あ、そうだね、彩椰さやちゃん、ごめん」

「ええよ、全然きにしてへんから安心し~、嘘やし」

「はああああ?」


 結局、そういう子がいたと言うだけで彩椰さやは中学を卒業した事がない本当の13才だと言う。

 その事について心乃葉このはがため息交じりにコメントした。


「はぁ……、まぁ、彩椰さやちゃんが13才なのは私が保証するわ」


 心乃葉このはがそう言うのであれば信じる事にしたひかりだった。

 そのやり取りを見ていた彩椰さやがニヤリと笑いながら一言残して帰った。


「そうやって騙されるんやな~」

「!?」


 その後、暫くひかりは魔法少女不信になったのは言うまでもない。

 心乃葉このはひかりが可哀想になって本当の事を教える事にした。


「あの子の二つ名覚えてる?」

「東区の暴れん坊だっけ?」

「そうそう、今回のがそういう事よ」

「先に教えてよ~~~」


 東区の暴れん坊、マジカル・ラン。彼女が暴れ始めた時、真実は何処にもない。

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