第4話 魔法少女の恩恵、そして禍堕ちとの戦い(前編)
翌日、御影家に朝から次々と荷物が届いた。
次に
それに伴って
大変な割に疲れないのは、魔法少女の体になったから体力が強化されたお陰らしい。
そして、いざ女物の下着を着ける事になると、
「どうしたの?」
「改めてみると、ちいさいなぁって。これじゃ頼りないんだよな……」
「矯正下着かスパッツでも取り寄せようか?」
「いや、これでいい。男としては滅多にお目にかからない物だからさ、そういう意味じゃ、ありがたがった方がいいのかなって」
「ごめんなさい、私の幸福値が落ちそうだからもうちょっと人として常識を持ってもらえる?」
「──ごめん」
全裸で下着を眺めて風邪を引いたらどするんだと、気に掛けていた
下着を見るくらいなら、自分の体に興味を持てばいい。その方がまだ健全だと思ってしまう。
もしかして女物の服に抵抗があるんじゃないかと疑ってしまうのだ。
特に膝上20cmのスカートはやり過ぎたかもしれないと思い始めていた。
しばらくして、
「なにしてるの」
「スースーして気持ち悪いんだよっ、すげえ心もとないっていうか間を何かで埋めたいっていうか……わかる?」
「
今度はくるりと回り、ながらスカートを気にしていた。
「なにしてるの」
「遠心力じゃ、思った程、パンツ見えないなって…」
「脱げば!?(怒)」
今度は全身鏡にお尻を向けてしゃがみ始める。
「なにしてるの…」
「どこまでしゃがんだらパンツ見えるのかって研究?」
「ちょっとパンツ脱いでやってみて、私が見ててあげるから(怒)」
これ以上の研究は危険だと
昨日は少々強引に性別を変えてしまった事に罪悪感を覚えていた。
もしかして嫌われるのではないか。もしかして自殺するほどに思い詰めていないかと。
幸福値だけの問題であれば、市がいくらでも調節できる事を知っている。
実際、今回の勧誘時には強引に進めた時に幸福値がマイナスになる事を考慮していたのだ。
意外にもそれを使う必要が無かったのは、
「それで今度はなにやってるの!」
「あ、いや、胸の谷間の──」
「
そんな風に感情を露わにする
11時も回って、
誰かと思えば、市長がわざわざ挨拶に来た。世界的に有名なので
「初めまして、お嬢さん。えっと、御影光さんでしたね、私は魔宮市の市長を勤めさせて頂いている、
「は、はぁ、まぁ有名ですしね。名刺に菓子折りまでご丁寧にどうも」
いかにもエリートサラリーマンといった感じの人だった。
細い四角い眼鏡がきらりと光れば、改革アイデアが即座に出てくるような感じ。
「これから活躍されるという事で我々も期待しております。あと、これから
「パパ、もういいでしょ、無理に挨拶に来なくていいのよ」
それでも頭を下げる市長というのは中々見れない光景で、それだけ娘の事が大事なのだろうと感じた。だが、そうだとした場合、自分がここに居るのはお邪魔なのは明白だと考え、その場から立ち去る言い訳を考える。
「じゃあちょっと飲み物でも入れてくるよ、二人で話してて──」
それは二人きりにするなというサインだった事は
それは魔法少女の特性の説明、存在についての隠匿性、機密保持等の注意事項や雇用関係などの事務的な事を説明して、最後には渋々帰って行った。
雇用関係については『退職ができない公務員』という扱いになるそうだ。その為、上下関係となるので市長とHOTLINE(メッセンジャーアプリ)の交換を行った。
「話さなくて良かったの?」
「いいの。それより、お出かけしましょ!昨日言ってた魔法少女の恩恵にね!」
目的地は電車で二駅隣、東区にあるホテルだと言っていた。
電車に揺られながら、
その答えを
「それだけ可愛いって事よ、喜んでもいいのよ?でも、あまり浮かれないでね」
「そう、なんだ。ふぅん………悪い気分じゃないね、でも僕は
「そう」
「まぁ、みんな胸を見てるんじゃない?」
目的の駅に到着するとホテルは目の前にあった。そこから35階に登り、
「ねえ、ここ、凄く高そうなんだけど!?」
「大丈夫、無料だから!」
聞けば、そのカードを見せる事でVIP待遇が受けれる。例えば、バイキングなのに持ってきて貰えるとか、2時間制限が閉店までの無制限になるとか、特別メニューが提供されるとかだ。
そして請求は市が持つから個人負担なし。そんな凄いカードを
メニューを渡され
「こんなに食べるの?」
「
「だけど、お昼ご飯食べてないから、別腹にする必要は──」
「さあ、食べるわよ!」
最初はスタンダードなイチゴのショートケーキ、ではなくイチゴのホールケーキだ。
直径が普通のケーキの2倍くらいありそうだけど、気にせず端から直接フォークで削って、口に運ぶ。
「美味しい!」
「でしょう?ここのケーキはどれも格別に美味しいの、私のおすすめはフルーツたっぷりのミル・クレープね。実は魔法少女の最大の恩恵はこれをタダで食べれる事じゃないの。いくら食べれて太らない事よ!!!」
「なんですとー!?」
「しかも、甘味は大事なの。魔法少女に欠かせないエネルギーの元だからね、普通の食事よりも効率がいいわ」
「すごい!美味しい!すごい!美味しい!すごい!美味しい!」
「語彙力なさすぎぃ~~。もう~、ほっぺに生クリームついてるよ」
ぺろりと舐められて硬直してしまう
「あ、あああ、あああああ」
「あ、嫌だった?」
「全然、全然大丈夫ですっ」
その言葉を聞いた
この後、命の危機に陥るとは露知らず、平和な時を楽しんでいる二人だった。
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▼今回、前中後の三部編成です。
関係ないですがHARBSのミルクレープいいですよね。一度ホールで買ってみたい。
1カット930円、1ホール9300円、高い、高すぎる、でも美味しい!そしてでかい!
あのでかいケーキを形を崩さずカットする技術も凄いと、つい見惚れてしまう。
そんな野望が小説ににじみ出た事は否定できません。
あ、それだけが言いたかっただけです。
よければ、応援と評価、感想、コメントを宜しくお願いいたします。(定期)
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