第26話 看病 其の六

 雪音は昼ごはんの片付けが終わり、瑞希は連絡の確認、返信を終わらせ、二人で彼の部屋でゆったり、だらだら過ごしていた。


 瑞希は布団の上で寝っ転がりながら、雪音は瑞希の近くにある壁にもたれかかりながら、ゆったりと、他愛のない雑談をしながら過ごしていた。


「んー……雪音、なんか観るか?」


「ん?なんかって?」


「ドラマとか、アニメとか、映画とか?」


「何故に疑問系……キミから提案してきたものなのに。」


「いや、ね?俺が言いたいのは、何かしないかと言うお話です。別にこれだけじゃない。」


「ふーん。別にボクはテレビ観るでもいいけど。それか、ゲームでもする?まぁボクはゲーム機持ってきてないから、一台でできるやつ限定だけど。」


「うーん……」


 どうしたものかと、瑞希は悩む。

仮にゲームをするとなると、前みたいに白熱しすぎていつのまにか夜になってたりしそうだし、アニメ、ドラマを観るにしても、一気に観るには時間が必要なのだ。それを考慮するならば映画なんかを観るのが最適なのではと考える。別に他の案があればそれでいいのだが。


「瑞希?大丈夫?ぼーっとしてたよ?」


「……あぁ、大丈夫、大丈夫。ちょっと何しようかなぁって考えてただけだ。」


「そう?うーん、それなら映画でも観る?時間的にも、他のやつは結構かかりすぎるからね。」


「そうするか……でも、映画って言っても何を観るんだ?」


「逆に、何が観れるの?」


「えっ、多分なんでも観れると思うよ?」


「へぇー瑞希ってそういったやつ加入してるんだ。」


「え、なに?意外なの?」


「うん。なんというか、観てなさそうだなぁって。」


「いや、でも俺はアニメとか観るのに重宝してるぞ?」


「あぁーまぁ、そうだよね。ん、まぁじゃあなに観る?」


「んー、どんなジャンル観たい?」


「うーん、ホラー系?」


「えっと、何で?お前がホラー系とかいうの意外なんだが?」


「えっ?だってこういう時って、二人でホラー映画観て、夜になったら、怖くて眠れない‼︎一緒に寝て‼︎とかやるんじゃないの?」


「……その知識はどこから仕入れたんだ。」


 瑞希が予想していた回答よりも、だいぶ斜めにぶっ飛んだ答えだった。

 いったい何処でそんな知識を取り入れたのだろうか?


「えっ、だってたまに見るよ?そういった話。それにキミが書いてた小説にもおんなじような話あるでしょ?」


「あっ……確かにあったわ。というかそんな話書いたなぁー……」


 その話の元凶は瑞希だった。まさか自分だとは。そういえばそんな話を書いていた。ただそれを書いたのはだいぶまえのことであるし、すっかり忘れていた。


「でもさ。お前ってホラーいける口だろ?俺だってホラーはいけるし、そういった状況にならなくないか?」


 瑞希の言う通り、彼はホラーを苦手としていないし、雪音に関しても、ホラーはいけると前に聞いていた。だからそういった状況にならないのでは?と瑞希は考えたのだ。


 その言葉を聞いて、雪音はあっ、とした表情を浮かべる。


「……そこは、演技でね?」


「えっと……お前は演技してまで、そういったことをやってみたいのか?」


 それなら協力するがと、瑞希は言う。

対して、雪音の返答は、


「いや、別に……ただ何となく思いついただけだしね。」


「そうなのね……うーん、この会話の意味とは一体……じゃあなにを観る?」


「まぁ、無難にアニメの映画なんかでいいんじゃない?観るやつはキミが選んでくれていいからさ。」


「まぁ、そうするか。」


 これ以上考えても、特に決まりそうにないし、瑞希は雪音の提案に肯定した。


 その後、二人は感動系のやつを観た。

何度か観たことがあるけども、泣いた。

号泣した。

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