第20話 看病 其の二
「……」
雪音にもらったゼリーを食べ、スポーツドリンクを飲んだ後、瑞希は布団の上に寝っ転がりながら、ぼーっと天井を見ていた。単純にすることがなく、雪音が一階から戻ってくるまで手持ち無沙汰という訳だ。
それから少し経ち、雪音が戻ってきた。
「戻ったよ。ごめん、少し遅くなった。」
部屋の扉を開けて入ってきた雪音がそう言った。
「いや、別に大丈夫。」
「冷蔵庫の中にあるものを見てたら結構時間が経っててね。」
「冷蔵庫の中?」
それまた何故なのだろう?いまいち冷蔵庫の中を物色する必要はないだろうに。
「あぁ、昼ごはんどうしようかと思ってね。キミに作らせるわけにもいかないし、ボクが作ろうかと思ってね。」
「ああ、なるほどな。別にわざわざ作んなくてもいいぞ。適当に何か買ってきてくれればいいからさ。」
わざわざ作る必要はないのだと、そう瑞希は彼女に伝える。ただその言葉は雪音にとって、不愉快なものだったらしく、怒りというか、呆れというか、なんともいえない顔をしていた。
「ねぇ、キミはさ。ボクがご飯も作れない人間だと思ってるの?言っとくけどボクは飯くらい作れるからな?」
「あっ、いや、そうゆうことではないんです。雪音さん。別にご飯が作れないとかそうゆう風に思っているわけではなくてですね。
わざわざ貴方にお手を煩わせる訳にはいかないなと思っただけです。はい。」
思わず瑞希は敬語で喋ってしまう。
「ふーん……まぁ、いいけどさ。
キミは一応病人で、ボクはその看病にしにきたんだからさ、もっとボクを頼ってくれないかな?キミの悪いとこだよそれ。なんでも抱え込みすぎなんだよキミは。それにキミを一人にしていけるわけがないじゃないか。」
「……そうか。うん、じゃあ頼らせてもらおう。」
「ん、分かればよろしい。
それじゃあ、昼ごはん、なに食べれそう?
一応、冷蔵庫の中を見た限りだと、うどんとかの麺類がいいかなって思ったんだけど。その方が喉に通りやすいかなって。どう?」
昼食の内容を瑞希に問う。
雪音は今うどんと言ったが、もちろん風邪引いたときの定番といってもいいお粥なんかも考えはしたが、なんかなぁということで取り敢えず、食べやすい麺類を提案した。
まぁ、最も雪音は瑞希が食べたいと言ったものを作るだけなので彼が何か案を出せば考えたものなど意味がなくなるだが。
「じゃあ、それで頼む。別に俺としてはなんでもいいからさ。雪音が作りやすいもので大丈夫。材料とかはあるものなんでも使っていいからさ。」
「そっか。ん、分かった。ボクが自由に作らせてもらうよ。それじゃあキミはゆっくりと休んでて。ご飯作りに下に行くまでボクはずっとここにいるからさ、安心して眠るといい。」
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