第8話 友人たちとの会合
「瑞希……お疲れみたいだな、お前は。あぁそれとおはようさん。」
瑞希が机の上で突っ伏していると、なんともいい笑顔を浮かべた和真が声を掛けてきた。それを瑞希が視認すると、和真を睨みつけながら一言。
「お前なぁ、あれを見てたなら助けに来てくれてもよかったろ、あとその表情やめろ、なんかムカつく。」
「あれ、オレが割って入ったところで続いてた思うよ?そうゆう運命だと思って諦めろ。
というか、オレとしては隠すのかと思ったけどね、お前らの関係。」
「隠すって手もあったけどね、昨日雪音と話し合ってな、普通にいつも通りいこうってなったんだよ。まぁ、さっきみたいに何度も質問攻めされるのは嫌だが。」
「なるほどね、まぁご愁傷様ですとしか言えないけど、これで堂々と関わる事ができるんだしいいんじゃない?」
「というか別に俺たち何かやましい事したわけでも無いんだがな。」
「それは……有名税?という事で諦めてもらって、そのうちオレたちみたいに風化してくさ。」
「そうだといいけど。」
何故こんなことになっているのかというと、時は瑞希たちが教室へと入ってきた頃まで遡る。
瑞希たちは学校に着いた後、仲睦まじそうに雑談しながら教室へと入っていった。
そうしたらクラスメイトの人たちに二人して質問攻めされたということ、ただそれだけである。
ただ瑞希としても、気持ちは分からなくはない、昨日きたばかりの美少女転校生が一般男子高校生と仲睦まじく、しかも名前呼びで一緒に登校してきたら誰だって気になるものだ。
だからといって面倒臭かったのは変わらないけれど。
「いやぁ、でもあれだね、比較的好意的に見られてんだな。」
「?どゆこと?」
「ん、俺が雪音と仲良くしてるのは許せない‼︎みたいなことを言う人がいるかと思ったんだけど、そうゆうのがなかったなって。」
瑞希のその言葉に和真が呆れたように言葉を返す。
「それは、お前……ラノベかなんかの見過ぎだろ。そんな頭おかしいこと現実で言う人がいるわけないだろ。」
「まぁ、それもそうか。というかそんなこと言ってる人がいたらお前は何様なんだって話だしな。」
そんなこんなで話していると、二人に対して声をかけられる。
「和真くんに仙波くん、お目当ての人物を連れてきましたよ。」
二人して声のした方へと顔を向ける。
そこには二人の少女がいた。
一人は瑞希たちに声をかけた人物であり、和真の彼女である、柊木陽奈。
そしてもう一人は……
「質問攻めから解放されたんだな、雪音。」
先程まで話していた、話題の人物。
桜花雪音、その人である。
「解放されたんだなって、他人事みたいに言うけど大変だったんだからね。柊木さんに助けてもらわなかったら、今もまだ解放されてなかったかもしれないのに。」
瑞希の言葉に抗議の声をあげる。
「あぁー、ごめん。本当にヤバそうだったら助けに入ろうかと思ってたんだけどさ。
……柊木さんありがとね。雪音のこと助けてくれたみたいで。」
「いえ、流石にあそこまでするのはどうかと思いまして、……それにしても、桜花さん、私の名前知っていたんですね。」
「ん?昨日瑞希に、名前教えてもらったからね。」
「そうでしたか。一応知ってると思いますが改めて、柊木陽奈です。よろしくおねがいしますね。」
「うん、よろしくね‼︎陽奈ちゃん。」
「……えぇよろしく雪音さん。」
一瞬、雪音からの呼びかけに固まってしまったが、すぐに返答する。
「それじゃあ次はオレの番だな。」
そう言って和真が雪音へと顔を向ける。
「知ってるかどうかわからないけど、
オレは月橋和真。瑞希の幼馴染で、腐れ縁といったところか?
あと、陽奈の彼氏でもある。
どうぞよろしく。」
「うん、よろしく。
一応知ってはいるよ、たまに瑞希の話に出てきたからね。親友だってね。」
「そうか!瑞希はオレのこと親友だって思ってくれてたんだな。嬉しい限りだ。
なぁ瑞希。」
そう言いながらニヤニヤとした表情を瑞希に向ける。
「そのニヤついた表情をやめろ!なんか恥ずかしくなってくるだろ。」
「オレとしては嬉しかったんだよ?そう言ってくれて。」
「……そうかよ。」
「そうそう。
……あっ、桜花さん。」
何かを思い出したかのように、視線を雪音へと向ける。
「ん?」
「いや、なんてことはないんだけどさ。
瑞希のこと頼む。」
「…………っ‼︎うん。
というか頼まれなくてもね。」
真剣な表情をした和真の言葉に対して、少し考えた素振りをし、驚いた表情で雪音がそう言った。
「ちょっと和真?一体俺を頼むってどうゆうことだよ?」
二人の会話の意味が分からなかった瑞希が声をあげる。
「うーん、それは自分で考えろ。」
「はぁ?分からないんだけど⁉︎」
──そんなこんなで雪音と瑞希の友人たちの初会合は平和に終わりを告げた。
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