【其の十九】

 あれから一週間が経っていた。旧校舎の理科準備室の呪いは、噂と共に完全に消えていた。しかし祥吾には、不満に思っていることがあった。


「君たち、何故ここに集まる?」


 呪いの一件以降、何故か祥吾の元に集まるメンバーがいる。それは、葵・司・莉子の三人である。


「良いじゃない別に」


「そうだぜ」


 莉子の言葉に同意するように言うと、祥吾の肩に腕を回す司。


「良くはない。僕は一人の方が落ち着くんだ」


 司の腕を振り払い、そう良い放った。その光景を見ていた葵は、何かを思い出したかのように祥吾に問いかけた。


「ねぇ、鏡に書かれていた血文字ってなんだったの?」


「あぁ、あれはタイムリミットだよ」


 少しの間を開けて、祥吾は葵の質問に答えた。


「タイムリミット?」


 祥吾の言葉に、葵がおうむ返しのように言葉を繰り返した。祥吾は軽く頷いたあとに、話し出した。


「死ぬまでのカウントダウンだったんだ。鏡に書かれていた数字が〇になった時、君たちは死んでいただろう。僕も含めてね……」


 その話を聞いた三人は身震いをさせていた。それもそのはずで、あのまま身体探しをしていたら自分達も今頃は死んでいたはずだから。


 さっきまで談笑していた空間が、今では重い空気を漂わせていた。そんな空気を振り払うかのように、一人の男が扉を開けて入ってきた。


「やっと見つけた。何で俺に内緒でみんなで集まってんだよ?……ってか、そんなに仲良かったっけ?」


 それは耕平である。皆を探して校舎を探し回ったであろう彼の額には、うっすらと汗が滲んでいた。


 耕平の姿を見た葵たちは、腹を抱えて笑った。皆の笑う姿を見ていた祥吾は、


「こういうのもたまには良いもんだな……」


 ボソッと、そう呟いた。


 

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視える人―深夜の身体探し― sho-ta @ishimori

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