第32話 謝罪

「信じられなかった。溢れてこぼれていたような力を持ったコリコが、分けてもらっ私よりもっと妖力が少なくなっていたんだもの。私、コリコにもらった妖力を返そうしたの、そうでなければ・・・今にも消えそうだったから・・・でもそうしようとすると「いらないことをするな! 甘い匂いの妖力なんかいらない! 」って・・・どこかにすぐに行ってしまった・・・・まるで最後の力を振り絞るみたいに。わたし探したの、きっとその近辺しか行けないだろうと思って。すると、とても優しい、でも、ものすごい大きさの力を感じた」

「それって・・・」

「ええ、神仏だろうと思う。きっとコリコを助けに来てくれたんだと思ったの。だって、その力が急に消えた後、ほんの少しコリコの力を感じたから。後で話してくれたんだけどね・・・・どうもコリコに「謝った」らしいわよ」

「え! 神様とか仏様とかが謝るの? 」

「コリコがやっていたから自分もやってみたいと思ったらしいの。それがこんな風になるとは思わなかったって」

「そうだったんだね・・・」

「それだけじゃなくて。コリコを誘った妖怪たちがずる賢く計画したらしいのよ、心を操る術にもかかっていたみたい。妖力の強い頃ならはねのけることが出来たんだろうけれどね、まんまとやられたの」

「でも・・・その・・・コリコの妖力欲しさに引きずり込んだ妖怪の方が悪いでしょ? 」

「そうなのよ! 

だから最近・・・彼らの噂は聞かない・・・

まあ! 馬鹿よね!! 私たちなんてより神仏とは近しいところにあるんだから、悪いことをすればどうなるか想像がつくでしょうにね!! 」

ちょっと大袈裟に大きな声を出したのは、遠くにコリコの姿が見えたからだった。

「コリコ!! お昼食べに行こうよ!! 美味しいところを知っているから!! 」

「ああ! 行こう! 」

コリコも長い間術中にいたのだ。

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