第31話 いない時


「本当に良かった、前のコリコにどんどん戻っていっている。妖力も前の三分の一ぐらいかな。でも前よりも妖力の質が良くなっているみたい。真日君のおかげかもしれない。どうして力を失ったか・・・聞いた? 」

「うん・・・賭博場で賭ける物がなくなったからって」

「そう、つまりコリコって力を分けることが出来たのよ。実は私もコリコから妖力を分けてもらったの」

「え! 」

「聞かされていなかったのね。私は昔はお菓子屋さんの試作につくったお菓子なんかを、ちょっとつまみ食いしていたの。だからその近辺のお菓子屋さんは「夜中においておいた菓子が食べられたら、それはすごく売れる」みたいに言われたの。でもね・・・実はもっとたくさん、色々な所のお菓子を食べたくなって、結局、盗み食いみたいになってしまった頃だった。そんなときコリコに会って・・・初めは話をしていただけだったけど、案外すぐに妖力を分けてもらえたの。気前が良いというか、優しいというか。

それからは、本当にうれしかった! 人に変化して働いて、思う存分食べることが出来るんだもの!! 私自分の幸せに夢中で・・・コリコが大変な事になっているって聞いたのは、実はそんなに前じゃないのよ」

「どうして? 噂ぐらいは聞くんじゃ・・・」

「それがね、コリコの妖力欲しさに、結託した一団があったらしいの。私も元々妖力が強い方じゃないから、その幻術、心をちょっと操られていたみたい。慌てて賭博場に行ったら・・・もう・・・ボロボロの誰かわからないくらいのコリコがいたの」

悲しそうにカシガジは僕に話し続けた。



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