第29話 妖怪の役目

「美味しい! 今まで食べた抹茶のパフェと全然違う。すごく濃くて、それですっきりしいる! 」

「まあ、真日君、わかるわね。コリコ・・・は夢中だからは話しかけるの止めましょう・・・ガソリンの味を消すためにもちょうどいいかな・・・・」

「そうだね」

コリコは完全な機械になれるため、燃料も当然必要になる。でもやっぱり車になると「ガソリンくさくなる」らしくて、本当は電車の方が良いらしい。けれど、昔よりも今の方が大騒動になるので止めざるを得ないのだ。

「おかわり! 」「はいはい、ご主人もういっぱい」「パフェ二つは珍しいね」僕たちの方を行き交う人はクスリと笑いながら通り過ぎて行った。

「お昼ご飯、食べられなくなるわよ、コリコ」

案の定、僕もコリコも食べ過ぎて、お昼は少し時間をずらすことにした。ちょっと先にある休憩所に三人で座って話し始めた。


「コリコも変わったわね、昔は「人間そのものには全く興味が無い、つくった物だけだ」という風だったのに」

それを聞いて、コリコはちょっと顔を背ける仕草をした。

「僕はコリコに救われたんです、恩人です」

「そう? まあ私たち妖怪の役目よね」

そう言ってかしがじはちょっと立ち上がって、さっきとは違う声色で


「人に未知なるものがあると知らせ、時には助け時には罰する事も、あなた方の生きる一部なのです」

「ハハハハハハ!!!! 似てるに似てる! 声そっくり!! 」

「あんまり大きな声で笑っちゃ駄目でしょ、私が神仏から怒られるじゃない!! 」


どうも、究極のものまねだったらしい。


「かしがじ、お前まさかここまでまた歩いて来たのか? 」

「もちろん、どうやって来るの? 首都圏に住んでいるんだから、車はもったいないでしょ? 」

「え? 歩いて??? 首都圏???? ここ日本海ですよ!! 」

「真日くん、電車は安いけれど、それを払ったらお菓子が買えなくなるじゃない。私はとにかくお菓子が食べたいのよ、日々生まれ続ける色んなお菓子を。それには資金がいるんだから当たり前。お菓子だけで生きていける妖怪に生まれて、私本当に幸せ。そうそう、私しばらく悪戯はしないから。とにかく食べるわ、それがお菓子の、お菓子を作っている人のためだから」


お菓子を少しでも多く食べるために日本列島を縦断するなんて、きっとこの人も、妖怪新世代の三人の一人だと思った。


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