第26話 逆戻り
「もう、使えないわね! 」
その女子の言葉に、教室は一瞬で凍てついたようになった。
彼女はいじめグループの手下のような感じの位置で、まるで下剋上を起こすようなきつい口調だった。この言葉が三日前ならば、僕は黙り、お腹が急に痛んだのかもしれない。でも今は本当に冷静に
「人にものを尋ねる言葉使いではない」とちょっと強気に言った彼女を見た。
「動物好きのあんたならわかるでしょ、ちょっと映っているんだから」
「無理だよ、あまりにも不鮮明すぎるよ」
「何よ、大したことないわね」
以前のように言葉を続ける彼女に対して
「真日君は知識があるから、不確実なことは言いたくないのよ。
今は色々調べることが出来るんだから、自分で調べたら? 知りたいのならサイトを教えてあげるけど」
その声に今度はクラスから小さなざわめきが起こった。村井さんが人前でこんなことを言うなんて誰も見たことはなかったからだ。
質問者はぷいとその場を立ち去った。その後、僕は村井さんと楽しく動物の話をするようになった。
そして、僕が一番すごいと思ったのは
「真日君、彼女あんな失礼な言い方しかしなかったけれど、
もしかしたら真日君に謝りたかったのかもね」
コリコに「今まで人間に言われたことの中で一番うれしい」と言われた人は、やはり普通の人ではなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます