第25話 もう一つの決意

 車の話を聞いた直後、母親が帰ってきたので、コリコは「またな」と家を出た。そして次の日も、僕が心の底から願った、ごく普通の学校生活が掃除の時間まで続いた。


「真日君!! きてきて!!! あれ猫じゃないよね!! 」

「え??? 」

クラスの女子から僕は引っ張られて女子トイレに連れて行かれそうになった。

「女子トイレはまずいよ」

「でも、ここからじゃないと見えないの!! すごくきれいだけどどうも猫じゃない見たいって、あきちゃんが」

「村井さんが・・・・」

彼女も動物好きなことは知っていた。だとしたら、多分僕のことをのぞきに来たコリコの事を不思議に思うに違いない。

「行ってみようぜ、真日! 」

面白半分に数人で行ってみると、

トイレに入る寸前

「ああ! 行っちゃった!! 」「あれ何? 」「きれいね!! 」

学校の一部分では大騒ぎになっていた。


でも、一応女子トイレの窓の所まで行くと、ガヤガヤとさわいでいる女子の中、村井さんだけは、コリコがいたであろう、木の方をじっと見つめていた。


「誰か撮った? 」

「これ! 」「えー! 茶色の塊」


僕は不安だらけで村井さんに声をかけた。

「村井さん・・・何の動物だったの? 」

彼女は振返り、優しく微笑んでいた。

「あの動物は・・・・・きっと神様の使いだわ」

「え! それは・・・どういうこと? 」

「龍とか、麒麟とか・・・そんなものに近いと思うの。モンゴルに住む「マヌルネコ」に近いとも思ったけれど、でも深い茶色はしていないでしょうし、毛並み自体が本当に神々しい感じだった。

真日君、私、そう思う、そう思うことにして、これから私なりにやってみる」


何かが彼女の中でとても良い方向に向いたのだろうと思った。そしてきっとこの彼女の言葉をどこかで聞いているコリコは、きっと今日も僕の所にやってくると思った。


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