第24話 若さ故

「神か仏かどちらかはわからないけれど、なあ真日、どうしてわざわざ古い車になったと思う? 」


「え? まあコリコが最新鋭だから、真逆にしたんじゃないのかな」


「そう言うことだろうけれど、じゃあ新品の車を作るのと、古い車を同じようにゼロから作るとすれば、どちらが面倒だ? 」


「あ! そうか! 古い車だ! そちらの方が色々と考えなきゃいけない」


「そう言うこと、つまりさ・・・神仏の力って本当に桁違いなんだよ。俺たちが消されるのなんて、きっと一瞬だ」


「え!!! 神様ってそうなの?? 」


「声が大きい!! もちろん気まぐれでそんなことしないけどな。その点最近の人間は戸籍とか法律で守られているから、昔の神隠しみたいなこともないだろう? 俺たちなんて、存在自体がはっきりとしないから・・・絶対に怖い。

ああ! 真日! 多分お前は将来もそんなことしないと思うけれど、「自分は神に選ばれ、助けられた」なんてこと言って怪しげな新興宗教なんてやって金を荒稼ぎしたら・・・・それこそ俺がお前を・・・」


「ハハハ、大丈夫だよ、きっと。コリコには感謝しかない。だから困らせるようなこともするつもりはないよ」


「お前って本当にいいやつ・・・俺はその素直さがなかったのかな。

その車を見た後、正直ショックで。どんなにがんばったって神仏にはかなわないって思ったらさ・・・・・なんかやる気が失せて、そんなときに賭場に誘われたんだ。俺は賭け事なんて好きじゃなくって、「やるヤツなんてクズだ」とか偉そうに言っていたせいかな・・・どんどんのめり込んで・・・・」


「なるほど・・・・」

神様も予想外だったのだろうと思う。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る