第21話 コリコの事情
「旨い、旨いよ! いい母親に生まれたな! 真日」
コリコは動物のまま食べていた。
本当にガツガツと肉食獣の様に食べているので、僕はずっと観察することにした。コリコの口からは猫のような牙が見える。舌はざらっとしているようで、意外に長かった。水用のお皿も用意して、それには麦茶を入れていた。コリコの要望があったからだ。
「ああ、麦茶とご飯、最高、ご馳走様」
可愛い動物が、おじさんのような事を言ったので、僕は笑った。
「どうだ、大丈夫か? 真日」
「あれからたった一日しかたっていないなんて・・・ちょっと信じられない。何だか・・・・・コリコともずっと一緒にいるみたい」
「ああ、それは俺も感じていたよ。人選が完璧だったんだな」
「コリコが僕を選んでくれたの? 」
「いや・・・それが・・・まあ・・・ちょっと・・・俺も正直に話さなきゃならないよな。実は・・・その・・・お前を助けるのは罪の償いというか、罰というか・・・」
「罰? 何か悪いことをしたの? 」
「この前オリンピックが終わったろう? でも俺の中でオリンピックと言えば前の東京のことだ、それからずっと一所にいたから」
「一所? 家? 」
妖怪にも引きこもりがあるのだろうかと僕は考えたけれど
「違う・・・妖怪専用賭博場だ」
「賭博場?? 前の東京オリンピックって、五十年前だよ!! 」
「そうなんだ・・・・・一切変化もせずに、ずっとやっていた・・・」
どこか自信なさげなコリコの原因がわかった。
しかし、
「でもな! その前はすごかったんだぞ!!! 」
今度は真逆の声と姿だった。
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