第19話 大人達
「そう、いじめという術か・・・本当にそうね」
僕もコリコが言ってくれたことを話した。もちろんコリコが何かは話していないけれど。
「その人って大人よね」
「大人・・・そうだね随分と大人だろう・・・」
「だろう?? 」僕はしまったと思ったけれど、
「とにかく!! 術にかかっているんだって聞いて、それでほっとしたんだ。不思議だけれど」
「すごく、大人で立派な人ね、私憧れちゃう。ねえ・・・その人と私も話すこと出来ないかな? 」
「え! ああ・・・それはね・・・・・僕も連絡先を知らないんだ、本当に・・・・ごめんね・・・・」
「いいのよ、いいのよ。でも格好いい! すごく素敵な人で素敵な大人、そんな立派な人もいるのよね」
「あ、そうだね」
その時ばかりは、とにかく微妙な表情は避けなければいけないと思った。
「私にもね、実は東大を出たおじさんがいるの」
「東大? すごいね、優秀だ」
「そのおじさん、東大を出て、今キリスト教の牧師になっているの」
「それで・・・・・ここに? 」
「うん、前のいじめのことでちょっと相談にのってもらったこともあったの。そのおじさんから言われたのは
「今は若いからそうは簡単に納得できないかもしれないけれど。悪いことをして、反省しなければ、決して道は開けない。どんどん悪い方向へしか行かなくなる。苦しくても良いと思ったことをすることは大事なことだ」って。そして私のこと・・・・「誇れる姪だ」って言ってくれたの」
「そうだったの、それで教会に」
「今度の事は相談しなかったけど、おじさんならもっとすごいシナリオをと思わなくはなかったんだけど、でも牧師だから逆に出来ないよね」
「ハハハ、そうかも。でも、もしこのことをおじさんに告白しても、
必ず僕が本当に感謝していることを伝えて」
「うん、ありがとう、真日君」
すると彼女はすっと立ち上がり、すこし歩いて僕の方に振返って言った。
「私ね、偉そうに言っちゃったの
自分の信念を持って、例えそこにいるみんなが間違っていても正しいことをやり続ける人が立派なんだって!
だから私
そんな男の人になる!! 」
「え!!! 」
ちょっと天然な所もあるとは聞いていて、そんなところも可愛い要因の一つと言われている彼女だった。
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