第17話 気持ちの良い椅子

「この椅子、気持ちがいいわね」

「そうだね、つるつるだ」


僕たち二人は、さっきのことがまるで「舞台の本番」だったように、

くつろいでいた。

「祈りに来ていたんだ、ありがとう、そんなことまでしてもらって」

「だって、私のせいで、真日君が標的になったみたいなものだもの」

「どうして? 関係ないじゃないか」

「いえ、大ありなのよ。だってクラス分けで、あのグループをバラバラにすれば、さほど問題は起きなかったはずなのよ。一人じゃ何も出来ないような人なんだから。でも・・・その・・・あのグループの親達が「子供が学校に行きたくないと言っている、三人一緒にいないと支え合えない」って言ったらしいのよ」

「支え合う・・・言葉が違うんじゃないのかな」

「そうなのよ、気が付いたら「私がきつく言いすぎている」というまでになっていたの」

「そうだったの??? 」

「かばってくれる先生もいたけど・・・・・それで正直、私疲れちゃったの。で、先生たちとすれば、再発防止にあの例の「一匹オオカミ」を一緒にしたわけ。きっと止めてくれるだろうと思ったら・・・」

「そうだったのか、先生たちも考えてのことだった訳か」

「それがあんな風になるなんて・・・・・私がっかり・・・」

「もしかして・・・・彼のこと・・・・」

「ほんのちょっといいと思っただけよ! お願い! 忘れて! 永久に消したい過去なの!! とんでもない男に中学からだまされるとこだった! あ、いけないかな、場所を変えた方がいいかしら」

 

「いや、いいと思うよ。神様も、きっと笑って聞いてくれるよ」


「そうね、ありがとう真日くん、真日君とは素直に話せるわ」


始めて言葉を交わした二人とは、神様も知らなかったかもしれない。


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