第2話 僕の作った歌

「何か音楽持ってきたか? 暇だろう? 」

この車は見た目、白の普通車だ。カーナビ等もついてはいるけれど、それは作動しない。さすがのコリコもそこまでは面倒らしい。ナンバープレートももちろんついているが、コレは妖怪内のナンバーらしくて、僕は詳しく知ろうとも思わない。


「ありがとう、でもいいよ。久しぶりコリコとドライブが出来るんだから。高校入学とコロナで出かけられなかったからね。で、あの動物のキャラクター化の話はどうなったの? 」

「うーん・・・それが・・・何かに似ているとか似てないとかでボツになる寸前、お前の反応からして、絶対に受けると思ったんだけど。ああ・・・金儲けって難しいな」

「コリコには向いてないかも」

「お前もそうだろう? とにかく、真日が急にギター始めてびっくりしたよ。それに結構上達が早いじゃないか」

「え、外で聞いてたの? 」

「まあな、時々だけど」

「じゃあ・・・ぼくの作った歌も? 」

「え! 作曲もするようになったのか? それは気が付かなかった! 聞かせてくれよ! 歌も大好きなんだ! 妖怪の歌合戦ではでは最終選考には残るんだぞ、歌うだけだけど」

「それは知らなかった・・・じゃあ・・・ちょっと恥ずかしいかな」

「今更そんなこといいじゃないか、聞かせてくれよ」

僕はちょっと水を飲んで、声を整えるとちょっと緊張が走った。

「フフ」っと笑うコリコの声がした。人前でこの歌を歌うのは初めてだ。でも聞いて欲しいのはコリコにだ。

「ふう・・・じゃあ・・・いくよ・・・」

心だけはしっかり込めて歌おうと思った。



守ってゆく でも変わってゆく

変わってゆく でも守ってゆく


やさしい出会いは 急に訪れ

穏やかな心 思い出せた

それは冷たく狭い嵐の中

やっと見つけたオアシス


そのオアシスで語り合ったのは

生きている人の複雑さと

君がほめてくれた 僕のやさしさ

強くしていくことの 大切さ


守ってゆく でも変わってゆく

大人の君と 子供の僕

変わってゆく でも守ってゆく

嫌いなことも 好きなことも


目の前がすべて幻でも

それでも 時は

流れてゆく


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