第28話 あき君のお姉さんですから!!!

 前回のあらすじ!

 余計な事しか言わんのか、このお姉さんは!


 ☆


「もう、何するの、あき君! 息が出来なくて苦しかったんだけど! それにそれに……!」


「何するのじゃないですよ、こっちのセリフですよ! 何言おうとしてたんですか、お姉さんは!」


 口を解放するとずっともがもが言っていたお姉さんがぶーぶーと文句を滝のように垂れ流してくる。でも今回もお姉さんが悪い!


「何言うって……あのエプロンで可愛い若葉ちゃんは、あき君の彼女でしょ!? あんな可愛い子捕まえて本当にあき君はやり手だねぇ! それにとってもいい子そうだし……ねえねえ、いつから付き合ったの? 教えて、あき君!」

 自信満々にニマニマしながら僕の方を見ながらそう言うお姉さん。


 だーかーら!

「違うって言ってるじゃないですか!」


「何が違うの! 金曜日にお家に呼んで! いい匂いしてたから多分お料理作って貰ってて、可愛い制服エプロンで! 初々しい名前呼びで……完全に付き合ってすぐのカップルじゃん、初めての週末にお家デートするカップルじゃん!」


「だから、その、あの……くそー、反論しにくい!」

 なんか状況証拠がそれっぽいんだけど!

 本当に違うのにそれっぽいんですけど!


「反論じゃないでしょ、事実なんでしょ? だから、早く認めなよ、あき君!!! あれでしょ、この後一緒にご飯食べて一緒にお風呂入って一緒のベッドでいちゃいちゃしながら寝るんでしょ! お姉さん知ってるんだからね! ちゃんと避妊はするんだよ!」


「ひ、避妊……そんなのいりませんよ、本当に違う……本当に違うから! 若葉はそんな関係じゃないって!」


「避妊がいらないって……もう親公認なの!? 凄いね、あき君! でも高校生で赤ちゃんは大変だよ?」


「違います、そう言う意味じゃないです! 僕と若葉は本当に付き合っていないって意味で……だからそう言うのじゃないって! 若葉と僕は友達だから!」

 本当に付き合ってないから!

 お姉さんの早とちり、今日は委員長のお節介が発動しただけだから!


「むー、本当に……? でも、あき君の目、嘘ついてるように見えないし……でも金曜日の夜にエプロンな彼女呼んでお料理いちゃいちゃ……う~ん、どっちだ? ゼッタイカノジョダケド……」


 あごに手を置いて、ふみゅーっと複雑そうな顔をしながら僕の目を見つめるお姉さん。


 そんな見られると照れる……じゃなくて僕が好きなのはお姉さんだけなんです、信じてください!



 しばらく僕の方を見つめたお姉さんだったけど、諦めたようにぷはっ、問い息をつく。

「……うみゅー、わかった……あき君の彼女ならお姉さんのお世話係が増えてもっと楽ちんになると思ったんだけどなぁ……でもでも? 本当は彼女ちゃんだったりして? ていうか彼女ちゃんでしょ!? 本当は、付き合ってる!」


「違います、本当に違いますから!」


「……違うの? 本当に……むふ~……ゼッタイウソゼッタイカノジョ……ぷはぁ……」

 大きなため息をつくお姉さん……委員長をお世話係にせんといてくださいよ、マジで。


 取りあえず、誤解も解けたし、お姉さんには部屋に戻ってもらおう。

「はい、違います。だからお姉さん、お部屋戻ってください、お願いします」


「むむむ……ねえねえ、あき君、若葉ちゃんにお姉さんの事紹介しちゃダメ? あき君の隣のお姉さんって」


「え、それは……どういう?」


「だって、あき君の彼女ともだちでしょ? それならたまに家に来ると思うし……だめぇ?」

 そう言ってウルウル上目づかいで聞いてくるお姉さん……もう、本当に可愛いなこのお姉さんは! 許しちゃう!


「わかりました、軽く挨拶ですよ。隣に住むお姉さんですって……余計なこと言わんといてくださいね!」


「言わない、言わない! これまでにお姉さんが余計な事言ったことあった?」


「数えきれないほどあるんですが……まあいいです。おーい、いい……若葉、ちょっと出てきてほしいかもー!」


「あき君酷い!」って怒ってるお姉さんを無視して、扉の向こうの委員長に声をかける。


 テトテトと足音が聞こえて、「何?」と少し不機嫌そうな委員長が顔を出す。


「あ、ごめん、い、若葉。そのお姉さんがあいさつしたいって」


「……お姉さんが?」


「うん、だからちょっとだけ出てきてくれない? 多分変なことは無いから」


「……わかった、明良の頼みだし。それに、話したいことあったし」

 そう言うと、ぴょん、と外に飛び出す委員長。


 そのまま、お姉さんを見上げるような形で正面に立つ。


「改めてこんばんはです、お姉さん」


「うん、こんばんは……さっきはごめんね、あき君が勝手に話し切っちゃって……もう、あき君はいつもこうなんだから……ごめんね若葉ちゃん」

 そう言って外面スマイルで僕の方をニコッと見るお姉さん……余計な事言ってますよ、それ!


「そうですか……失礼ですがお姉さん、明良とはどのような関係なんですか?」

 お姉さんの言葉を聞いて、ギロっと黒い怖い目でこっちを睨んでくる委い、若葉……隣に住んでる人、って説明そういやしてなかった気がする!


 お姉さんはニマニマ笑いながら、からかうように。

「ふふ~ん、そうだねぇ……私とあき君は友達以上の関係、かな?」


「友達以上……! もしかしてお姉さんは、明良と……!」


「うん、そうだよ。私はね、あき君の! お料理、お部屋の掃除……そんな感じの事をしてあげてるお姉さんなの!!!」

 そう言ってデデーンと大きく、自慢げに胸を張るお姉さん。


 ……


 ……は?



 ★★★

 エールちゃんおめでとう🎉 

 折り合いは大変そうだったけどやっぱり強い! あと可愛い、好き!


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