お部屋掃除① 謎の物質編

「という事で、今からお姉さんの部屋の掃除をしてもらいたいと思います!!!」


 そう言ってお姉さんが指さすのはぐちゃぐちゃに汚くなって、足の踏み場もギリギリになってしまった汚部屋。


 色々なところのゴミとかが散乱する汚部屋。


「……ついこの前掃除しましたよね? なんでこんな惨状になってるんですか?」


「アハハハ、それはお姉さんにもよくわからない! けど、このままじゃまずいってことだけは分かる! だからあき君、掃除よろしくね!」

 そう言ってデデンと胸を張り、うんうん頷く……まったくもう。


「わかりました、ちゃんと掃除しますよ。お姉さんも手伝ってくださいね」


「ぬへへ、ありがと、あき君! うん、なるべく努力はするよ!」

 顔を綻ばして、グイっと腕まくりをするお姉さん……本当はこうなる前に努力してほしいんですけどね。


 なんで2~3日でこんなに汚くなってしまうかが僕には本当にわからない。


 前にキレイにしたときにはいろいろ棚とか収納に片づけたんだけど、いつの間にかそいつらは大体床に帰還してるし……本当に謎だ。


「ん~、お姉さんもそれは謎なんだよね~? なんでそんなにお部屋がいつの間にか汚くなるのか……あき君探偵! この謎を解明して見せよ!」

 そう言ってビシッと僕の方を指さすお姉さん。


 自分で掃除する気はないんですね……わかりました。


「……これからは汚くしない様に努力してくださいよ?」


「ん~、それは無理かも! お姉さんには難しい注文です!」


「……ハァ……」

 にへへとあほっぽく笑うお姉さんに、僕はいつも通りの声にならないため息をついた……努力してくださいよ、マジで。


 頼りにされるのも、お姉さんと話せるのも嬉しいんですけど……その、僕もちょっと忙しいんですから。


 だから、こういう事はほどほどに、でもそれなりの頻度にして欲しいです!



 ☆


「ん~、あき君、もうよくない? もう歩けるところできたし大丈夫じゃない? お姉さんもう暮らせるから……だからもうご飯作ってよ、お姉さんお腹空いちゃったよ!」


「だーめーです、まだ全然汚いです、ていうかご飯は……げっ、何ですかこの物体は……え、本当に何?」

 飽きてソファの上で丸くなりながらマンガを読んでいるお姉さんを横目に掃除を続けていると、謎の黒光りする物体を見つけた。

 何だこの黒いの、めっちゃテカってるんですけど?


「おーおー、それは懐かしいね。うんうん、懐かしいものだよ、あき君!」

 触るのも怖くなってちょっと放置しようと思っていると、うんうん頷きながら、それをひょいっと手に取る。


「……懐かしい? この黒いの何なんですか?」


「懐かしいものだよ……何かわかんないけど、多分懐かしい奴! なんか見てるとわくわくするから!」

 目を輝かせながら、そう言って黒い物体をよしよしと撫でるお姉さん……は?


「……何ですか、それ、汚いですよ。捨てますよ、貸してください」


「やだやだ、捨てない! キレイだもんてるてるしてるもん! これは私のコレクションにするの! 捨てないもん!」

 顔をフルフルさせながら、ギュッとその黒い物体を抱きしめて。

 いやいや、本当に汚いですよ、わかんないですけど。


「てるてるって何ですか、本当に……ダメです、そんなゴミの山にあった不思議な物体、コレクションになんてしちゃダメですよ、病気なりますよ?」


「でもでも、人間はこういう不思議なものに憧れるじゃん! 河童のミイラとか、恐竜土偶とか、クリスタルスカルとか……そう言うものに憧れて崇拝するように、お姉さんもこの真っ黒な物体を私も崇拝するの! お姉さんの神様にするの!」


「それ全部偽物ですよ、作りものですよ。だからそれもなんかやばい物質が積み重なってできた暗黒物質です、やばい物質ですよ。全然神聖とかじゃないです、捨ててください!」


「ヤダヤダ、これは神聖なの! 神聖だから、最強だから! 後クリスタルスカルは本物だよ! だから絶対に捨てないの、捨てちゃダメなの……ダメ! あき君の鬼、悪魔、あき君! この黒いのは捨てません、飾ります! ガルル! グルル!」


「……わかりましたよ、捨てません。捨てませんからそんなにそれ抱きしめないでください……なんか変な跡ついてますし」

 ぐるぐる威嚇するお姉さんにため息をつきながらそう答える。

 黒いすすみたいなの服についてるし……絶対にゴミですよ、ゴミの集まりですよ、その黒光り物体。


「えへへ、てるてるてかてかキレイだね~、可愛いねぇ! ふふふ、神棚に飾ってあげよう、神棚なんてないけど~! ぬめめ~、キレイだねぇ、君は!」

 ……まあ、お姉さんが楽しそうに笑ってるからいいか。


 鼻に真っ黒になってるけど、楽しそうだからもういいんじゃないかな……でも、お姉さんその黒いのゴミの塊ですよ、そのテカリも多分汚い脂ですよ。

 気に入ってるならいいですけど、気をつけてくださいね。




「……あ、お姉さんまた同じような奴ありますよ、今度は赤いです! なんでか赤いです、赤くテカってます、これ凄いですよ! これも……」


「え、何それ気持ち悪い! なんでそんなに赤いの、汚いし気持ち悪い! そんな汚い物お姉さんに見せないでよ!」


「……お姉さんの感性が僕にはわからないです」

 絶対そのすすまみれ黒物質より、こっちの方が……まあいいや、この赤テカり物質は僕が貰っておこう、なんかレアっぽいし。

 汚いけど、すすはつかないし、多分大丈夫なやつでしょ、これ。

 


「あき君ダメ! そんなもの捨てなさい!」


「⋯⋯ブーメラン刺さりますよ?」




《あとがき》

 二日酔いで1日死んでいたので今日は短いです。

 お部屋掃除の話はたまに書こうと思います、次はブラジャーの話です。


 スターズオンアースめっちゃ強かったですね! プレサージュリフト本命だったので最後までドキドキしました。


 感想や評価などいただけると嬉しいです!!!

 





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