旧校舎のえっちな先輩

第10話 黒タイツに萌え袖白衣の先輩が履いてなさそうでエロい(だが男だ)

「ふふふふ~ん♪」

 もうすぐで~、今日のお仕事も終わり!  


 今日の夜ご飯は何にしようかな?


 まだカレー残ってるけど、昨日もいっぱい食べたし、朝もカレーだったし……今日は他の物を食べたい気分であります!


 カップ麺とかじゃなくて、手料理が良いな~。

 今日もあき君に何か作って貰おっと!



 ☆

 

 椅子に座る先輩。


 妖しく光る赤い瞳に、どこか不安になるくらいキレイな顔。

 スラっとした細い身体、真っ赤な唇。


 独特のミステリアスな雰囲気も相まって……やっぱり不思議な人。

 妖艶というか、紫色のオーラというか……なんというかそんな感じの雰囲気が漂う、不思議な人。見た目は。


「……ふぅン、遅かったじゃないか、明良君。もうちょっと早く来てくれよー」

 そんな先輩が、茶髪をゆらゆら揺らして、不満気にぶーぶーと文句たらしく言う。


 伝言貰ってすぐ来たのに……本当にわがままな人だ。


 ……まあ、中身はこんな人だよ、先輩は。

 別に妖艶でもないし、妖しいというよりは怪しい人だ、そしてわがまま。


「……すぐ来たじゃないですか、文句言わないでください」


「僕の中では結構時間が経ってるんだけどねぇ。明良君も僕の時間に合わせて動いてくれないかい?」


「無理ですよ、なんで先輩に合わせないといけないんですか」


「アハッ、アッハハハハハ、何を言っているんだ、君は僕のフェレットじゃないか、友達以上だろー? だから僕に合わせて動くのは至極当然のことだと思うがねー」

 不気味な笑い声をあげながら、身に覚えのないことを色々言ってくる先輩。


 僕がいつ先輩のフェレットになったんだ……いや、色々付き合ってはいるけど。

 ていうかフェレットって何だよ、実験動物ならモルモットでいいだろ。


「ふぅン、まあいい。こうして来てくれただけ御の字という事にしよう……おや、明良君、その後ろの可愛い子は誰だい?」


 スタっと立ち上がった先輩が、僕の後ろに隠れて「なんかえっちだ……!」とか「ふえー、やっぱりきれいな人だ……無理かも」とか「ぼ、僕っ子?」とか「友達以上? やっぱり……」とか色々呟いていた委員長を流し目で指さしてくる。


 啖呵張った割には結構臆病さんだね、委員長。


「え、いや、あの……こ、こんにちは!」

 指さされてびっくりしたのか、委員長の口から出てくるのは焦ったような、怯えたような高い声。


「ふふふ、こんにちは……そんなに怯えないでくれよ。なーに、変な実験もいたずらもしないさ」

 その声を聞いた先輩は、キレイな顔をニヤッと歪ませ、僕たちの方へ歩いてくる。


 チャックのついた丈の長い白衣にピンクのカーディガン、それに黒タイツ……どっからどう見ても某ゲームの某キャラのコスプレです、なんでカーディガンの色だけ変えたんだよ。


 ちなみに先輩は出会った日からずっとこの格好だ……暑くないのかな? とか校則大丈夫なん? とか色々疑問が湧いてくる。


 カツカツとブーツを鳴らしながら歩いてくる先輩を待っていると、くいくいと服の裾を委員長が心配そうに引っ張ってくる。


「どうしたの? やっぱり先輩の事怖い?」


「ううん、違う。そうじゃなくて……その、速子さんって……スカート履いてらっしゃらにゃいんですか? そのカーディガンに隠れて見えないけど、履いてないような……」

 恥ずかしそうに顔を赤らめながら先輩の細い下半身を指さして、ボソッとそう呟く。


 ……確かにカーディガンはワンサイズ大きいもので下は見えないけど。

 先輩も流石にそれくらい……


「……そう言えば昔、『めんどくさいしすーすーするからスカートは嫌いだ、履かない」って言ってたような……」


「え!? そ、それじゃあ、あの下はもしかしてそのまま……え、えっちです! ぴやっ、ぴやああああ!!!」


 顔を真っ赤にした委員長が奇声をあげて、床に座り込む。

 いや、でも流石になんか履いてると思うけど……履いてますよね、先輩?


「明良君、彼女はどうしたんだい? 急に奇声をあげて座ってしまったが」


「いえ、その……えっと……あはは」

 悩ましげな表情で聞いてくる先輩に、何ていえばいいか全然わからないので、とりあえず話を濁す。

 先輩の下半身事情なんて今聞けないし。


 僕の笑い声を聞いて、先輩は「ククッ」といつもみたいに妖しく笑って。

「アハハ⋯⋯ふぅン、面白い子じゃないか……どれ、そこの君、僕に顔を見せておくれ」

 長い真っ赤な舌をチロチロ動かしながら、いつもの赤い瞳で、委員長に顔を近づける。


 真っ赤な委員長の顔がさらに赤くなって、頭からはプシューっと湯気がでて。

「ぴえっ……近くで見るとすごい美人で妖艶で良い匂いして色気が……う、やっぱりえっち星人……」


「えっ、なにそ……こほん。えっち星人? 僕がかい? アハハ、本当に面白い子だね、君は……明良君、この子は君の彼女かい?」


「か、彼女!? え、私はそ「違いますよ。クラスの子です、委員長です、前野若葉さんです」


「アハハ、そうかいそうかい、彼女じゃないのか。ふふふ、それじゃあ……」

 そう言った先輩はピトっと委員長の顔に長い指を這わせる。


「ぴえっ」という悲鳴がまた委員長の口から洩れて。



 赤い目でまっすぐに委員長を見つめた先輩が、その厚い真っ赤な唇をゆっくりと開く。


「若葉君、僕のフェレットになってくれよ」



「⋯⋯え? ふぇ、フェレット? え?」


「なーに、心配する必要はない。最近少し明良君が冷たくてね、だから僕と「はーい、先輩ストップです! 委員長を口説こうとするのはやめてください! ほら、大丈夫、委員長? 怖かったでしょ、大丈夫?」


 本格的に口説き落とそうとし始めた先輩の指をパチンとはじいて、ゆでだこみたいに真っ赤でクラクラしている委員長を助け出す。

 ふにゃふにゃでクラクラで……大丈夫じゃないかも。



「何をするんだ、明良君! せっかくいいところだったのに!」

 対照的に元気そうなのは先輩の方。

 僕に邪魔されて不満なことが一発で分かる、ぷくぷくほっぺにブーブー文句。


 でも先輩が悪いですよ、これは!

「何をするんだじゃないですよ! 何委員長のこと口説こうとしてるんですか!」


「口説こうとはしていないぞ! ただ若葉君を僕のフェレットに……」


「それは十分口説いてますよ! なんですか僕のフェレットって!」


「だって⋯⋯だって明良君が悪いんだ! 最近付き合いが悪いから! 代わりのフェレちゃんが欲しかったんだ!」


「なんですか、フェレちゃんってちょっと卑猥です! ……僕も忙しいんですよ、退屈なんだったら他の友達と遊んでくださいよ」


「うぐっ、それ⋯⋯ククッ、面白いことを言うね、君は。僕に君以外の友人がいるわけないじゃないか!」


「……それ言ってて悲しくないんですか?」

 胸を張ってそんなことを言う先輩に憐みの視線を送る。

 なんで自信満々なんだよ、この人は。


 僕の視線をぺいぺいとかいくぐりながら、先輩はさらに胸を張る。

「悲し⋯⋯全然恥ずかしくないね! と・に・か・く! こう言う事してほしくないならもっと僕に構ってくれ! 僕と遊んでおくれよー! 僕に尽くすのが君の役目だろー!」


「……」


「遊ん……コホン。選択したまえ。僕が他の人に手を出すか、君が僕のフェレットとして尽くすか。ほら、はーやーくー! はーやーく!」

 ジロっと赤い目で睨んではいるもの、楽しそうな声でパンパンと手を叩く。

 聞けばわかる、めんどくさい音。


 ……ああ、もうこんな人ばっかり!

「……わかりましたよ、僕が先輩のフェレットになります。他の人に手出されたら困りますから」


「良かっ⋯⋯ククッ、もとより君に選択権などないからね! それでいいのだよ、明良君!」

 そう言って、萌え袖を口に当ててククッと不気味に笑う先輩……なんで僕の周りにはこういう強引な人が多いんだ!


「⋯⋯ふぅン? なんだい、その目は? 何か言いたいことでもあるのかい?」


「……別にないですけど」


「ふぅン、そうかい……君はやっぱり、僕の従順なフェレット君だねぇ」


「そんなことないですけど。取りあえず、もう帰ります。委員長立てる? こんなところ早く脱出しようね」


「う~ん」とうなるような委員長に何とか立ってもらって、肩を抱きながら教室を出る。


 その手をガシっと掴むのは先輩……もう、やっぱりめんどくさい!


「ごめん、ごめん、待って、待ってくれ! 冗談だ、冗談。僕は君の事結構好いてるんだよ? だから残ってくれ。まだ話の途中だ」


「先輩に言われても嬉しくないです! だから帰ります!」


「待ってくれ、君がいなくなったら僕は誰と遊べばいいんだい!? 遊んでくれるって約束したじゃないか!」


「今日は約束してないです、一人で遊んでください! 僕は帰ります!」


「えー!? 連絡したら約束の約束だろー!? さっきフェレットになるって言ったし、僕と遊ぶのは君の役目だろう! 今日も遊んでくれ!」


「明日遊んであげますから! 今日は先輩のせいでへにょへにょになった委員長もいますしダメです。じっくり一人で反省してください!」


「やだ! きょ・う! 今日がいいの! 僕は今日遊びたいんだ! 若葉君も一緒でいいから僕と遊んでくれよー! 頼むよ、明良くーん!」

 そう言ってじたばた地団太を踏んで、駄々をこねるようにぶーぶー文句を言う先輩。


 ……なんで僕の周りの年上はこんな人しかいないの?


「……もう、わかりましたよ。きょ「あげません!」

『え!?』


 突然聞こえた大きな声に、二人ともぎょっとして声の方を見る。


「ダメです、斉藤君はあげません! 速子さんみたいなキレイでえっちで強引な女の人に斉藤君をあげるわけにはいかないです! 私が連れて帰ります! 私と一緒にいるんです!」


 僕の肩に掴まっていた委員長が、怒ったように目をパッと開き、話始める。

 割と凄いこと言ってる気もするけど、良いぞ、もっとやれ……え?


「ちょっと、委員長、委員長」


「何、斉藤君? 速子さんは君の言う通り怖い人だったよ、早く帰ろう! 君は良いように使われてるだけだよ、遊ばれてるだけだよ、速子さんとは付き合えないんだから! フェレットって実験動物扱いだし……だから騙されないで、目を覚まして! 大丈夫、今度は私が守るから!」


「いや、違う。もうなんか色々違うよ。そうじゃなくて、その……」


「じ、実験動物なんてそん⋯⋯こほん。ククッ、ククッ、アッハハハハハ! やっぱり面白いねぇ、若葉君は」


「何笑ってるんですか! 速子さんは悪い女の人です、ちょっとキレイでえっちな雰囲気で服装もえっちだからって斉藤君をもてあそんで、奴隷みたいにして……そう言うのもうやめてください! 斉藤君は私と一緒に帰ります!」


「委員長、ちょっと委員長!」


「何、斉藤君? まだ速子さんの事が良いの? 大丈夫私が忘れ……」


「違う、違う、そうじゃない。その……勘違いしてるみたいだけど、先輩、男だよ?」


「……え?」

 委員長から素っ頓狂な声が洩れる。

 常識が崩れたような、そんな情けない声。


「……まあ、気持ちはわかるけど。でも先輩は男だからその……ね?」


「え? え? ……ええ!?」

 先輩を指さしながら、金魚みたいにパクパクと口を開け閉めする委員長。


 そんな委員長を見て、先輩―本名長浜孝宏は複雑な表情で「アッハハハハハ!」と笑った。




《あとがき》

 めっちゃパロが多いです、ごめんなさい。

 タイトルの方の書籍は、発売日に近所のアニメイトに走って買いに行きます。大好きです。


 タ〇オンの勝負服って、あのゲームの中で一番けしからんと思います。


 感想や評価などいただけると嬉しいです!!!










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