第1話 情報

今回担当する人間が通う学校へと着く。


「えーと。今回の私の担当の子はたしか…。」


私は背中の羽根を広げ空を飛ぶと、少し離れた場所から三階の教室で窓際の席に座り教科書を手に持つ彼女を見つける。


どうやら現在は授業を受けている最中のようだ。


この時間はなにもできることがないため、今のうちに彼女の情報を確認しよう。


彼女の名前は蔵元 めぐり〈くらもと めぐり〉


都内の女子校に通う女生徒。


見た目は悪くない。


性格は暗いが真面目で、友人はいない。


クラスメイトから嫌われているわけではないが、一人でいるのが好き。


趣味は読書で少し夢見がちなところがある。


そして、肝心の想い人はというと。


いる。


同じ女子校に通う、隣のクラスの子。


好きになったきっかけは一目惚れ。


初めて見た時の笑顔が忘れられなく想いが強くなっていったとのこと。


その情報を見て私は思わず大喜びする。


それはなぜか。


担当する人間に想い人がいること。


相手を探すという工程を飛ばせるのはすごく幸運なことだったからだ。


さらに情報を確認すると、またも嬉しいことがあった。


この相手には想い人はおらず、またこの人間に対しての想い人もいないとのこと。


ライバルがいないということは失敗を恐れて焦らないで済む。


今回は今までで一番簡単そうだと確信する。


「よし!今確認すべき情報はこれくらいかな。さてさて、もう少し近くで確認しよ。」


私は先程いた場所から彼女の近くまで移動する。


その時、教科書を見ていた彼女が窓の外を見るとクスッと笑う。


彼女の視線の先には私がいる。


私は一瞬ドキッとしたが大丈夫。


人間には天使である私の姿は見えていない。


その証拠に彼女はすぐに教科書に視線を戻す。


「でも、なんでこっちを見て笑ってたんだろ…。」


私は気になり彼女を観察することにした。


そして、その謎はすぐに解ける。


「あー!あの子教科書見てるのかと思ったらこっそり漫画読んでる!」


情報によると真面目とのことだったが意外と悪いところもあるんだ。


少し修正しておかないと。


それから、少し時間が経ち授業が終わると昼休みの時間になり、ここから私は行動を開始する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る