第14話 どうしてお前がここに居んの⁉

 カルナが展望台で逃げ出して、気まずかったのでカルナが降りてもう遭遇しない時間を見計らって俺たちも降りた。


「お、カルナからメールが来たぞ」


 吹雪が携帯に届いたメールを確認する。メールは普通の言い方なんだな。


「『ごめん、ウチのせいで空気悪くしちゃったね。この埋め合わせはいつか必ずするから、今日は三人で楽しんどいて……』と」

「そっか、まぁ、気楽に見える奴だけど色々あるんだろう」

「そうだな。このまま拙者たちも暗い気分で帰ってはカルナも気負ってしまうだろう。カルナの分まで三人で楽しもうではないか!」


 精一杯吹雪が明るく言い、


「ああ!」


 それに俺が同意し、


「おうよ!」


 野太い声でジュリオも同意した。


「……え?」


 何でここにこいつが居んの?


「ジュリオ……今なんで『おうよ!』って言ったの?」

「カルナのメールに書いてあるじゃあねぇか。三人で楽しめって。だから、1」


 そう言って自分をさし、「2」と俺を指さし、「3」と吹雪を指さした。俺の横のミラを完全に無視して。


「三人で楽しもうぜ」


 いや、無視してるんじゃなくて見えないのか。カルナという認識できる人間がいなくなって猫を被る必要がなくなったため、ミラは再び気配を消して、フルステルスチャーミングロストモード(仮)に移行している。


「で、でもよお、忍者とジュリオ初対面じゃん? その三人で遊ぶっていうのも……」

「……ジュリオ・ドラクリオット。龍人族だ。よろしくな」

「拙者はブリージア・エレキカイザーと申す。忍者をやっておる。これでもう、知り合いになったな」

「ああ!」


 ジュリオと吹雪は名乗り合い、固い握手を交わした。が、


「お前、今なんで嘘ついたの?」

「失敬、雷亭吹雪と申す」

「初対面なんだからそう思っちゃうじゃん。つまんねぇ嘘ついてんじゃねぇよ」

「ほう、お前があの……ブリージア・エレキカイザーか」

「ジュリオ⁉ 乗らなくていいからね? お前なんか異常にノリ良くない? そんなキャラだったっけ?」


「そうだよ。お前が知らないだけだ」


「あ……」


 そういえば、俺は三年生の時、ジュリオと一年間同じクラスだったのに彼の事をまともに知らなかった。ジュリオが実は俺に憧れていたというのもめくりに聞かされて初めて知ったし、カルナと知り合いだったというのも……。


「……そうだな。遊ぼうか、この三人で」


 卒業してちょっと遅いかもしれないが、これからジュリオの事を知っていくのもいいかと思った。


 〇


 江ノ島であまり知らない三人で遊ぼうと決意した瞬間、ジュリオはこんなことを言い放った。


「江ノ島つまんねぇ」


 どうしてここに来たのか頭が痛くなる発言だったが、吹雪が特に何も言わなかったので、俺も江の島を出ることを反対しようとしなかった。


「いや、だって、忍者何も言わねえし、江ノ島でこの三人で遊ぶと頃とか想像つかねぇし……だから、足を踏むのはやめて?」

「………ッ!」


 ミラは江ノ島が気に入っていたのか、島を出る間、俺の足を踏み続けていた。


「で、これからどこ行くんだよ。このメンバーで行くとしたらゲーセンしか考えつかねぇけど……」


 若者の遊び場の鉄板。ゲーセン。男友達と行くのならそこに行っておけば間違いない。忍者は若干男みたいなものだから別に問題ないだろう。


「いいねぇ、ゲーセン。あそこにはアレがあるしな」

「アレ?」


 にやっと笑うジュリオに俺と吹雪は彼の目的の予想がつかず、首をかしげる。

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