第11話 来る?
まさかの展開になった。
俺は藤崎めくりと共に街を歩いている。あのクラスで高嶺の花の藤崎めくりと。
「正樹君、クラス会来る?」
「へ? え、あ、行かないかな」
ちらりとめくりと逆側にいるミラを見る。この不機嫌になっている少女と一緒にいなければいけないという制約あがる以上、外出は控えた方がいいだろう。
「そっか~、来ればいいのに」
「ど、どうしてだよ」
「だってもう会えないかもしれないんだよ。最後に中学校のクラスのみんなでワイワイしたいじゃない」
っていっても、勉強ばかりしてたからあまり中学校のクラスに思い入れないんだよな。友達いなかったし。
「いや……俺暗いし、雰囲気悪くしちゃうよ。だから行かない方がいいって」
「そうかなぁ? ジュリオは来てほしいと思うけどなぁ……」
「ジュリオが?」
ジュリオ・ドラクリオット。龍人族の青年でクラスのリーダー中心的存在。そんな彼がどうして俺に来てほしいと思うのか。正直、こっちからすればリア充過ぎてあまり関わりたくないのだが。
「だって、ジュリオ。正樹君に憧れてたんだよ」
「ジュリオが? そんな馬鹿な」
「だって正樹君、無駄に(RPG)ステータス高いじゃない?」
「あぁ……」
無駄にて。そこまで言うことはないだろう。隣の魔王は声を押し殺して笑ってるし。
「やっぱり男の子だから、強いのに憧れてたんじゃない? ジュリオはいつか正樹と決闘するんだって、トレーニングして『力』と『技』のステータス上げてたもの。あ!」
しまったというようにめくりが口元を抑える。
「これ秘密って言われてたんだ……ハハハ、言っちゃった」
困ったようにはにかむめくり。かわいい。
「ハハハ……言っちゃっね」
めくりにつられたように笑うと、彼女は微笑を浮かべたままじっと俺の顔を見つめている。
「…………」
「な、何?」
「あぁ、ごめん。正樹君。雰囲気変わったなって。なんだか明るくなった」
「え⁉ そ、そうか?」
「うん、男子三日会わざればって言うけど、正樹君はなんだか一日で別人のようになっちゃったんだね。何があったかわかんないけど、いいことだと思うよ」
にこやかに、ヒマワリのような笑顔を向けてくれた。
そう、いいことがあったのだ。隣の魔王に出会って、俺の『魅力』は昨日とは比べ物にならないほど跳ね上がったのだ。
早速効果が出たと、にやける口元が抑えれない。
「ごめんね。『魅力』が低いってだけで、正樹君のこと振っちゃって。よく正樹君のこと知りもしないで。本当に謝ります。ごめんなさい」
ペコリと丁寧にめくりは頭を下げた。
「い、いや、ろくに話せなかったくせに、突然告白したこっちが悪いんだから謝らないでくれよ! 気にしないでくれよ。俺ももう気にしてないからさ」
「そう? なら良かった。流石に恋人にはなれないけど……」
めくりは顔を赤らめて、携帯を取り出して上目遣いに俺を見上げてきた。
「連絡先交換しよ? 友達にはなれるでしょ?」
「あ、あ、あ、ああ!」
心臓が飛び跳ねるんじゃないかと思うほど、ドキッとして、携帯を落としかけるほど危うい手つきで携帯を取り出した。
「良かった!」
またヒマワリのような笑みを向けながら、めくりと電話番号とメールアドレスを教えあった。
その間ずっと俺にジトッとした目を魔王は向けていた。
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