Column8 ③「肩が凝る」は夏目漱石が作った言葉?
(前Columnからの続きです)
何故「『肩が凝る』は夏目漱石の造語らしい」ということが広まったのか。
ネットで調べてみたところ、どうやらTV番組や訪問マッサージのサイトに書かれていたものが広まったようです。彼らが用いているのは夏目漱石の『門』という作品のようなのですが、調べてみるとそれよりも5年ほど前に発表された小説にも「肩が凝る」が使われているようですし、江戸時代の文献もあることが分かりました。
*奈河亀輔『伊賀越乗掛合羽』十一段目(新日本古典文学大系『上方歌舞伎集』)
*式亭三馬『四十八癖』三編
これらの資料を実際に当たって確認したわけではありませんが(筆者の財源と時間の問題のため)、比較的信憑性が高いネット情報(出典元が書いてあるので)からの引用なので、参考にしてもよいのではないかと思います。
(本文の末に参考にしたURLを添付しておきますので、気になる方は読んでみてください。またサイト内では、書籍が購入できるようにリンクが張られています)
そして、『三省堂国語辞典 第八版』に「江戸時代からある ことば。夏目漱石が作ったという話は誤り」と記載があったのは、これらの出典があることを知った上での記述と考えられそうです。
よって「『肩が凝る』は夏目漱石の造語らしい」は誤りだということがお分かりになったかと思います。
いかがだったでしょうか。
作家Aさんの何気ないエッセイから、とんでもないところに来てしまいました……。軽い気持ちで調べただけだったのですが。
辞書の内容が全て正しいわけではないのですが(辞書編纂者の方がそう言っていました)、それでも一般人よりも言葉に向き合っている時間が長い人たちが作っている物です。ですから、言葉に関してではありますが辞書を頼りつつ、自分が書いている内容が正しいかどうか確認することは大切なことだなと思います。
また今回は、勉強になるかなと思って買った松井栄一氏の著書『日本人の知らない 日本一の国語辞典』が、思いがけず役に立ちました。これを読んで分かりますが、辞書も特徴があるので、使いこなすようになるにはそれぞれの辞書の性質なども理解しないといけないのかもなぁと改めて思った次第です。
何にせよ、ネットは間違いもあるので見極める目が必要ですね。
<参考URL>
くうざん、本を見る『これも漱石の造語ではない「肩が凝る」』
https://kuzan.hatenadiary.jp/entry/20080403/1206971739
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