Column13 「入籍させていただきました」について

 ――この度、入籍させていただきました。


 もしかすると、芸能人などの結婚報告にこういう言い方を聞いたことがあるかもしれません。

 芸能人の方は、どこからか指摘を受けないように気を付けているせいか、「させていただく」を多用しているように思うのですが、これも使い方によっては逆に不快な思いをさせてしまう可能性があります。


 さてさて。

「入籍」のことは、以前『NIHONGO-2-』の8月のColumn3で説明しました。「入籍」=「結婚」になるとは限らないですよ、と。その点の解説は上記のColumnに書いてあるので読んでいただくとして、ここでの「させていただきました」ですね。


 さあ、もうここまでくると皆さんも「誰に許可を取ったんだ?」と思うのではないでしょうか。


 例えば夫になる人が、妻になる人のご両親に結婚の許しを得るために「結婚させていただけないでしょうか」と言ったとします。これは何も問題のない言い方です。何故なら、好きな人の両親に結婚の許可を取るのは、彼らもその好きな人と深くかかわっているから。


 しかし、ファンの人たちに言うのは違います。

 もちろん、今まで応援してくれていた人たちに感謝の気持ちを伝えることもあるかもしれませんが、彼らはあくまで聴衆側であって当事者ではありません。例えば、恩師に結婚を報告する際に、「結婚させていただきました」とは言わないでしょう。


 丁寧に言う必要はありますが、そこで「させていただきます」を使うのはやはり変で、「結婚いたしました」とするのが報告の仕方としてはしっくりするのかなと思います。


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