Column12 「閉会させていただきます」について
――パーティが終わったので「それでは閉会させていただきます」と言った。
これは司会者が会場全体に言う言葉です。本当はここでも「それでは閉会いたします」で充分です。しかし、多くの方が使うようになりましたし、司会者の方がどうしても「させていだきます」を使いたいというのであれば、この場面では使っても問題ないとされています。
『明鏡国語辞典 第三版』の「させていただく」の項目にも次のようなことが書かれていました。
『させていただく』【明鏡国語辞典 第三版】
[連語]「(Aに)させてもらう」の謙譲語。自分の行為について、Aに…させてもらうのだというとらえ方をし、さらに「いただく」と謙譲語を用いてAを高める言い方。Aの許可を得て行う場面や、Aの意向によって行うとみなせる関係の場合に使う。
(中略)
[使い方]
(3)大勢の聴衆や目上の人の前で、自分の意見を述べたり、会を取り仕切ったりするような場面でも使う。
「では、発表をさせていただきます」
「閉会とさせていただきます」
『明鏡国語辞典 第三版』の語釈や、ここまで説明してきたColumnでも分かる通り、「させていただく」には「相手の許可を得ることによって、自分がその行為ができ、その許可に対して感謝する」というような意味が含まれていましたよね。
しかし、Column11で語ったように「講演会や会議など、大勢の人の前で話をするときに使う場合は、聴衆へ話を始めることへの了解をとりたい気持ちから使われる」ことがあるのです。
本来の「させていただく」とは少し使い方が違うものの、世間で認められているのはこれ以外に言い換えができないからだと思われます。
上記でも説明しましたが、本来は「閉会いたします」でも問題ありません。しかし司会者が聴衆に対して「許可を得つつ、それをしてくれたことへの感謝」のようなものは、「いたします」では伝わりにくいのでしょう。
(次のColumnでラストです)
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