❆【敬語特集】「させていただく」について❆
Column2 「させていただく」について
皆さんは、「させていただく」という敬語は使われますか?
言語学者によると、世間では「させていただく」ブームになっているようです。
確かに、俳優さんなどのインタビューで「〇〇という役をさせていただいたのですが」と言っているのを聞いたことがありますし、カクヨムさんのなかでも「読ませていただきました」や「書かせていただきました」という風に書いていらっしゃる方もちらほらと見かけることがあります。
このような具合に「させていただきます」が広がっていますが、一方で「させていただく」が「耳障りだ」とか「慇懃無礼だ」とおっしゃる方も少なくありません。
「させていただきます」というのは、色んなパターンの言い方に対応しやすいという点があるのですが、本当は使える場面が決まっているのです。よってその域を越えてしまうと逆に失礼な言い方になってしまうのです。
「慇懃無礼だ」とおっしゃる方のご意見ももっともなのですが、だからといって「させていただきます」を完全に否定することもできません。それは、「させていただきます」以外の謙譲語で表現できないのがあるのも確かだからです。
さて、今回は「させていただく」をテーマに語っていくつもりですが、これは大変ヘビーな内容です。
理由は大きく二つ。
一つは「させていただく」が使える場面です。これは同じ場面でも状況によって使えたり使えなかったりすることがあり、使い分けがとても難しいのです。この点については皆さんに理解してもらえるよう分かり易い内容を心掛けますが、分からなかったごめんなさい、と先に謝っておきます……。
また「させていただく」を扱っている書籍(著者)によって見解が違います。
今回使用した書籍は6冊(そのほかに敬語関連の書籍と辞書を使用しています)ですが、書いている人の立場によって、「いい」「悪い」の線引きが若干異なっていることがあるためです。
例えば、外国人向けに日本語を教えている日本語教師の方は、文法に乗っ取ってきちんと教える必要があることから、現在多く使われている「させていただく」の使い方に対して比較的厳しい立場をとっています。
一方で、言語学者の方は少し緩いです。今の使い方は「ちょっとおかしい」と言いつつも、「上手く使っていこうよ」という立場ですし、「させていただく」の使い過ぎに対し「慇懃無礼だ」という人たちに対しても「その気持ちは分かるけれど、これを使ってしまうのにも理由があるんだよ」となだめている感じのところもあります。
さらに辞書によっても微妙に捉え方が違いますし、ネットで「させていただく」のことを解説しているものもあるんですけど、ネットでは「これは間違っている」というのが、書籍では問題ない方として紹介されていますし……まあ、大変なのです。
そのため、いくつかのColumnに分けて丁寧に解説していこうと思います。また、私の立場としては「させていただく」を上手く使いつつ、「慇懃無礼に聞こえないようにする」方法を模索していこうと思いますので、良かったらお付き合いください。
ということで、まずは「させていただく」が持つ二つの用法について次のColumnで解説しようと思います。
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