2023
1月
Column1 「新年あけましておめでとう」に違和感あり?
皆さん、あけましておめでとうございます!
昨年は当作品をはじめ、色々な作品を読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。大変励みになりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします!
さて。新年早々ではございますが、『NIHONGO』シリーズにぴったりなお話をいたしましょう。
皆さんは、新年のあいさつをする際「新年あけましておめでとうございます」といいますか?
年始のテレビ番組の挨拶では、そのように言っていることもあるので、何も不思議なことはないのですが、これにはちょっとした議論があります。
まずは「新年あけましておめでとうございます」をよーく見てみましょう。
「あけまして」というのは、「旧年があける」という意味を示しています。それに「新年」という言葉を付け加えてしまうと、「新年があける」という意味になってしまいます。つまり「翌年になってしまう」という言い分なんですね。
これがよく分からない場合は、「2023年が明けた」という言い方だったらどうでしょう。『毎日ことば』では、2018年に同じような質問を読者の方に投げかけているのですが、全体の8割の人が「変だと思う」と回答していました。
この理由から、「新年あけましておめでとうございます」という言い方に違和感があるとか、この言い方は不適切だという方もいるのですが、『三省堂国語辞典 第八版』では「間違いではない」と主張しているのです。
『NIHONGO』シリーズを読んでいらっしゃる方なら分かるかと思いますが、格助詞「を」の「結果目的語」の話が分かれば解決です。……ええ? 忘れてしまった?(笑) そういうときもありますよね。大丈夫です。一緒に復習しましょう。
格助詞「を」には、「湯を沸かす」とか「穴を掘る」という表現があるのですが、これはよく見てみると不思議な組み合わせになっているのです。普通、「沸かす」のであれば「水」からでしょう。それなのに「湯を沸かす」と言っています。「穴を掘る」だって、「掘るから穴ができる」のではありませんか。
しかし「湯を沸かす」も「穴を掘る」も正しい文法です。何故なら格助詞「を」には「結果目的語」という用法があるから。
「結果目的語」というのは、「目的語の一種。何かをした結果生じるものを『…を』であらわした文節。例、『湯を沸かす』の『湯を』(『三省堂国語辞典 第八版』より)」のこと。
そして、格助詞「が」にもこれと同じような用法があるのです。
それと同じように、「新年あけましておめでとうございます」も「結果目的語」ならぬ「結果主語」だと言っているのです。
うん? ちょっと分からないぞ、という方は「新年があける」という言い方に直して見ましょう。「新年があけておめでとうございます」……、すると「湯を沸かす」の用法と、同じような形をとっているのが分かります。
と、ここまで色々書いては来ましたが、私はどちらを使ってもいいのではないかと思います。
確かに『明鏡国語辞典 第三版』や『三省堂現代新国語辞典 第六版』には「新年おめでとう」「あけましておめでとう」という用例ばかりで、「新年あけましておめでとうございます」は出て来ません。しかし、その一方で誤りであるという書き方もされていないのです。
私としては、お互いが気持ちよく挨拶できればいいと思うので、「新年あけましておめでとうございます」を使ってもいいのではないかなと思います。
それでは本年もどうぞよろしくお願いいたします(*- -)(*_ _)ペコリ
*参考URL*
『毎日ことば』「明ける」のは新年? 旧年?
https://mainichi-kotoba.jp/enq-001
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